お菓子を作って売る時には、製造場所に保健所の営業許可が必要です。シェアキッチンなどで必要な時だけ借りることもできますが、やはり自分だけの工房、憧れますよね!この記事では、My工房を持つ方法をお伝えします!
目次
そもそも保健所の許可をとるのに、必要なもの
保健所の許可は、この2つのセットでとります▼
保健所の許可=物件の許可×人の許可
人の許可は、食品衛生責任者、つまり責任者講習の受講です。こちらは、講習の申し込みさえできれば取れちゃいます。
多くの方の課題になるのは、物件の方ですよね!
物件の要件として(管轄の保健所による部分はありますが)、一般的にこういう感じです▼
- 生活用のキッチンとは別である
- お菓子などの製造業の場合は、部屋として区切られている(扉を閉じれば1つの部屋になる)
- 2槽シンク+手洗いが必要
- 基本的に、1厨房=1許可
順番に見ていきます。
①生活用のキッチンとは別である
これね!これ一番壁になるやつ。「いやいや、家しかないねん…」って思いますよね!?めっちゃわかります😭
なぜ生活用、つまり日頃の食事を作るスペースと分けるのか、わかりますか?
例えば名古屋市の営業施設の基準。
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000011/11885/kyokasisetukijun.pdf
こちらには、「住居その他の施設から区画されていること。」としか書いてありませんが、住居、つまり日常生活を送っているスペースで作ると、何かあった時に原因を追跡しにくいからだろうな、と理解しています。
あと、何でも起こりえる、ということもあります。
例えばお家でご飯を作っていて、必ず賞味期限内に食材を使い切っていますか…?
ちょっと期限が切れてても、「においとか味とか大丈夫そうだし、いけるやろ!」と、使ったことはありませんか?笑
いやいや、私もありますよ笑
納豆を1週間放置した時はちょっと凶悪な感じがしましたが、もう少し乾物なもので、「いやいや全然いける」と、料理に使ったことあります笑
しかし、それって家庭だから許されることで、飲食店でそれやってたら、やばくないですか?
で、作る場所が同じだと、気をつけていても、コンタミネーション(混入)のリスクがあるんです。
そういうリスクをできる限り減らすために、生活用のスペースとは分けよとなっているのかなと思っています。
②お菓子などの製造業の場合は、部屋として区切られている(扉を閉じれば1つの部屋になる)
その場で飲んだり食べたりする飲食店は「カウンターキッチン」が可能ですが、
- お菓子やパン(菓子製造業)
- お惣菜(そうざい製造業)
などの製造業は、カウンターキッチンのように厨房外と空気が繋がってるのはNGで、扉を閉めたら部屋として独立する間取りになるように、という要件があります。
③2槽シンク+手洗いが必要
地域や取得する許可によっても若干差があるようですが、基本的にはシンクが2つと、手洗い1つが基本です。シンク2つではなく、シンク1つ+食洗機で許可が出るエリアもあるようです(詳しくは、工房を構えようと思っているエリアの保健所、あるいはまだ場所が決まっていなければ、試しにお住まいの保健所に電話して聞いてみてください^^)
- なぜ2槽シンクと手洗いが必要なの?
やっぱりMy工房!
最初から工房を持つのは資金的に大変だからということで、始めはシェアキッチンを活用して、お菓子販売を始めるかもしれません。
しかし、やっぱりシェアキッチンは100%自分の空間ではないので、
- 食材や道具、作業中のものを置きっぱなしにできない
- 通うことが大変。。。
- 好きな時に好きなだけ作業できるとは限らない。
- 作業時間(=レンタルキッチン代)が気になる…
- 同じシェアキッチンを利用している、他の方のリスクも間接的に負担している
など、いろんな不便があります。
それらの不便を解消するのが【自分だけの空間】です。
シェアキッチンがないので、My工房一択です
という場合もあります。シェアキッチン自体増えてはいますが、コンビニやスーパーほどはまだまだ数がないので、「あるところにはあり、ないところにはない」という状態です。
そのような環境の場合だと、
お菓子を作って売りたい!=自分の場所を作らねば…
となります。
工房?店舗?
では自分だけの空間を作ることを考えた時に、その場所には、お客様は来店されますか?あるいは、「自分だけが作業する」という場所でしょうか?
ここでは、
- 工房:自分が作業するだけの場所。基本的にお客様の来店なし(工房直販など、工房の玄関先で商品を受渡することはある)
- 店舗:作る場所兼販売スペース。お客様が来店される場所。
とします。
工房、店舗、シェアキッチンの比較
一概に良い悪いとは言えませんので、何を優先するかかなと思います。
工房 | 店舗 | シェアキッチン | |
お客様の来店 | なし | あり | あったりなかったり、 利用先のシェアキッチンによる |
初期投資 | 30万円程度〜 | 300万円〜500万円〜1,000万円 | 1万円程度 |
維持費 | (家賃+)光熱費 | 家賃+光熱費 | 1時間1,000円〜 1ヶ月10万円、20万円など シェアキッチンによる |
立地 | 自分が通いやすければ良し | お客様が来店しやすい立地が良い | すでにあるシェアキッチンの 中から選ぶ |
広さ | 自分が作業できれば良し | お客様がいらして不便ないくらいにはしたい | 選べない。 利用先のシェアキッチン次第 |
売り場 | なし。 ネットショップやマルシェなど 外に売りに行く必要がある | あり | あったりなかったり、 利用先のシェアキッチンによる |
作業時間 | 好きな時に好きなだけ使える | 接客がない時間帯 | シェアキッチンの空き状況と 自分の予定と レンタルキッチン代を加味して 考える |
道具や食材 | 置きっぱなしにできる | 置きっぱなしにできる | 利用時に持っていって 持って帰ってくることが多い |
リスク | 自分だけのリスク負担 | 自分だけのリスク負担 | 共同利用なので、他の利用者の リスクも間接的に負担する |
工房の選択肢
一言で工房といっても、こういうやり方があります。(これフローチャートにするとわかりやすいですか?🤔)
- 今住んでいる自宅を改装する
- 空いている実家を改装する
- お庭にコンテナキッチンを置く
- キッチンカーを買う(ただ、エリアや作りたいメニューによっては、別で工房が必要な場合あり)
- 部屋を借りて改装する
①自宅を改装 | ②実家を改装 | ③お庭にコンテナキッチン | ④キッチンカー | ⑤部屋借りて改装 | |
物件取得費 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 家賃の1〜6ヶ月分 |
工事費 | 30万円〜 | 30万円〜 | 150万円程度 | 80万円〜300万円程度 | 100万円〜 |
家賃 | 0円 | 0円 (場合による) | 0円 | 駐車場代? | 4万円〜15万円程度 |
維持費 | 光熱費 | 光熱費 | 光熱費 | 光熱費 ガソリン代 | 光熱費 |
調整相手 | 家族 | 家族 | 家族 | 家族 | 自分、大家さん |
かかる時間 | 家族の合意がとれれば工事は1-2週間 | 家族の合意がとれれば工事は1-2週間 | コンテナキッチン探し、見積もり、設置などで1ヶ月程度 | キッチンカー探しに時間がかかる | 物件探しに時間がかかる(ワンルーム程度なら工事期間2週間程度) |
今の住まいが… | 戸建て | ・実家が戸建て ・人の住んでいない集合住宅の一室 | お庭のある戸建て | 戸建てでも集合住宅でも可。駐車場が必要。 | 戸建てでも集合住宅でも可 |
順番に見ていきましょう◎
①今住んでいる自宅を改装する
自分だけの作業スペースであれば、移動や家賃など、一番負担が少ない選択肢ですよね💡
「自宅でできるの?住んでるところではできないんじゃないの?」という疑問が浮かんできますよね。
結論としては、自宅でもできます!
ですが、生活用のキッチンとは別に、営業用のキッチンを作ってください!という回答になります😅
例えば、戸建てで、
- 1階の南側にLDKがあるなら、北側の一室をつぶして一部屋キッチンにする
- 1階のLDKの真上、2階の一部を区切って水回りを引っ張ってきてキッチンにする
というイメージです。
間取りによって、改装しやすいしにくいというのもありますが、やっぱり一番は、【家族の理解】ですよね!
- 今住んでいるお家の工事をする時に、日常生活に影響はないの?
- お金をかけてまでやりたいの?
- お金をかけて改装して、もし全然売れなかったらどうするの?
などなど…きっとあなた自身が、動き出す前に感じていた疑問や不安を、そのままぶつけられると思います。その疑問や不安をねじ伏せたり説き伏せたり突破できるだけの情熱と先立つもの(資金)があれば良いのかなと思います。
- 自宅改装事例
- 家族に応援されるためには?
②空いている実家を改装する
基本的には①今住んでいる自宅を改装すると同じ感じではありますが、最大の違いは、既存のキッチンを活用できることです。なぜなら、人が住んでいないので、元々あるキッチンを営業用とできるためです。
ただ、家族(主に実家の方)との相談は必須ですし、できれば応援されたいですよね!
- 家族に応援されるためには?
③お庭にコンテナキッチン(ユニットハウス)を置く
こちらは、今住んでいるお家のお庭に、という想定ですが、ご実家が通いやすくて、ご実家の方ならお庭に置ける、というのであれば、そのイメージで読んでいただければと思います◎
世の中には、コンテナキッチン(ユニットハウス )という画期的なものがあるんです…!
大きなイベントとかで(例えばラーメンのイベントとか、◯◯フェスとか)、箱型のご飯屋さんって、たまにありませんか?
簡易的なキッチンで食事を作ってくれるお店です。
そのコンテナキッチン、実は個人でも買えるんです…!
気になる方、ぜひ「ユニットハウス」と検索してみてください!
- コンテナキッチン(ユニットハウス)で自宅工房!
④キッチンカーを買う
実は、シェアキッチンとなる物件を借りる前、キッチンカーを考えました…!なぜなら、部屋を借りるよりは、車を用意する方がハードルが低いかなと思ったためです。しかも、キッチンカーもいきなり購入でなく、レンタルで借りることもできるので、購入という大きな出費の前に、お試しすることができるんです(ありがたい😭)
しかし…これは個人的なことですが、車の運転があまり得意ではなくてですね…😭色々調べたのですが、キッチンカーは断念しました…😭
あと、調べていたら、キッチンカーで作るにも、結局仕込みの場所が必要ということがわかり、仕込みの場所=自宅はNGとのことだったので、「結局自宅ではできないじゃん、部屋借りないといけないじゃん」となりました😭
- キッチンカーで開業!
⑤部屋を借りて改装する
ようこそ、同じ選択肢へ(笑
家も改装できない(住んでいる集合住宅だったり、戸建てでも家族の同意が得られなかったり)、キッチンカーも難しい、お庭もない、という場合…きっとおそらく、「部屋借りて改装するか…」となりますよね😅
マンションの一室を借りて改装しました💡動画でどうぞ▼
まとめ
- お菓子を作って売るためには保健所の許可が必要。
- 保健所の許可は、物件の資格×人の資格のセットでとる。
- そもそも保健所の許可をとるのに必要な要件は、
①生活のキッチンとは分けられている
②菓子製造業の場合は扉で部屋が閉じられる
③2槽シンク+手洗い - 工房の選択肢としては、
①今住んでいる自宅を改装する
②空いている実家を改装する
③お庭にコンテナキッチン(ユニットハウス)を置く
④キッチンカーを買う
⑤部屋を借りて改装する。
いかがでしたか?
ぜひぜひ、夢のMy工房をゲットしてください✨