お菓子販売に使うシェアキッチンの選び方|許可・料金・設備・使い方を解説
シェアキッチンで作ったお菓子は、条件が整えば販売できます。ただし、販売できるかどうかは、利用するシェアキッチンの許可内容・許可名義・利用ルールによって変わります。
この記事では、これからお菓子販売を始めたい方に向けて、シェアキッチンの選び方、使い方、必要な手続き、料金、設備、見学時のチェックポイントを整理します。
- お菓子販売に使えるシェアキッチンの選び方
- シェアキッチン利用時に必要な手続きの考え方
- シェアキッチンを使うメリット・デメリット
- 利用前に確認したい設備・料金・利用ルール
- 問い合わせから製造日までの流れ
- 見学時にチェックしたいポイント
目次
お菓子販売に使うシェアキッチンを選ぶ前に確認すること
検討している先のシェアキッチンに、菓子製造業の許可があるか確認しましょう。
シェアキッチンでお菓子販売する時は、その施設がどの許可を持っているか、誰の名義で製造するのかを確認することが大切です。
シェアキッチンとは?
シェアキッチンとは、営業許可を取得済みの(あるいは営業許可を取得できる)キッチンを、時間単位や日単位で借りられる施設のこと。
個人がキッチンを1つ用意して菓子製造業や飲食店営業の許可を取るのは大変ですが、シェアキッチンならそのハードルをぐっと下げることができます。
シェアキッチンを利用するメリット・デメリット
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 費用 | 自分で工房を作るより初期費用が少ない レンタル代 1時間1,000円 10時間1万円 毎週〇曜日3万円など | 「1時間いくら(1日いくら)」と費用がかかる |
| 通いやすさ | 近くにあったらラッキー! | 自分で決めた立地ではないので通いにくい場合が多い |
| 利用時間 | なし | 事前予約制 使いたい時間に使えるとは限らない 終わりの時刻が決まっている |
| 設備や荷物 | 自分が持っていない道具がシェアキッチンにあれば、試せるかもしれない | 基本的には置きっぱなしにできるシェアキッチンは少なく、利用の度に持ち運ぶので移動が大変 |
| 交流 | シェアキッチン運営者とは交流を持ちやすいかもしれないけれど、厨房が1つしかないシェアキッチンだと他の利用者さん(お菓子屋さん)とは意識しないと交流しにくい(お互いスケジュールがかぶらないように製造予約を入れるため) | 人間関係の合う合わないはあるのかも…? |
シェアキッチンを利用する最大のメリットは、改装工事など大きな費用をかけなくても、まずは、作って売るを体験することができる、です。
ただし、利用の度に費用がかかったり、「何時までに終わらせないといけない」という制約があります。
すたーとあっぷきっちんの作り手さん(シェアキッチン利用者)たちもですが、
- フードドライヤー(食品乾燥機)
- スタンドミキサー(ハンドミキサーの本格版)
- 簡易シーター(生地を伸ばす機械)
- シーラー(袋を密封する機械)
- ガスオーブン
などをシェアキッチンで試してみて、良かったから自分が独立する時に購入した(あるいは購入を検討した)、という方々がいます。
なかなか、費用的にも(5-6万円)スペース的にも大きな設備はお家で作るために買って試す…ということは勇気がいります。業務用でなくとも、多少本格的な設備がシェアキッチンにあれば、自分で買う前にお試しで使うことができます^^
シェアキッチン以外にも、自宅工房・物件改装・コンテナキッチンなど、作る場所にはいくつかの選択肢があります。作る場所全体を比較したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
シェアキッチンを使えば許可をとれる?
保健所には「シェアキッチン」という許可があるわけではありません。
実際には、シェアキッチンが取得している菓子製造業許可や飲食店営業許可など、必要な営業許可の範囲内で活動します。
シェアキッチンによって、運営者の許可のもとで利用できる場合もあれば、利用者自身が手続きをする必要がある場合もあります。
そのため、見学時には「自分が作りたい商品を作って販売できるか」「マルシェ・通販・委託販売に使えるか」「利用開始までに必要な手続きは何か」を確認しましょう。
利用開始までに必要な手続きはシェアキッチンによって違う
シェアキッチンの利用開始までの流れは、大きく分けると2つあります。
| パターン | 内容 | 確認すること |
| 多:シェアキッチン運営者の許可の範囲内で利用する | 運営者が取得している許可の範囲内で利用する | 作れる商品、販売方法、食品衛生責任者の要否、ラベル表記 |
| 少:利用者自身が自分名義の許可を取る | 利用者が保健所に申請し、現場検査を受ける | 申請手順、手数料、図面、食品衛生責任者、保健所対応 |
多:シェアキッチン運営者の名義でとった許可書で活動する
少:作り手さん(シェアキッチン利用者)が一人一人保健所の許可をとる
どちらの流れになるかは、地域や施設の運用によって異なります。詳しい流れは、見学時にシェアキッチン運営者から説明を受けましょう。
シェアキッチンで作ったお菓子を、通販・マルシェ・委託販売で販売できるかどうかは、販売方法や施設のルールによって変わります。
シェアキッチンを選ぶ5つのポイント
- 営業許可の種類
「菓子製造業」「飲食店営業」など、自分の販売したい商品の許可があるかどうか。 - 必要な手続きと利用ルール
利用開始までに、どんな手続きや講習が必要なのか。 - 利用料金・予約方法・利用時間
1時間単位、1日単位、月額利用など、自分の販売頻度に合うか。 - 設備・備品・保管ルール
オーブン、冷蔵冷凍庫、作業台、シーラー、荷物の保管可否を確認。 - 通いやすさ・運営者との相性
荷物を持って通えるか、相談しやすい運営者か、見学時の雰囲気はどうか。
アクセスや雰囲気も含めて、実際に行かないとわからないことがたくさんあります。気になるシェアキッチンがあれば、利用する/利用しない問わず、問い合わせて見学に行ってみましょう!
そもそもレンタルキッチンで作ったパンやお菓子を販売できるのか知りたい方へ
レンタルキッチンで作ったパンは販売できる?食品表示ラベル・責任・マルシェ販売の注意点
検索キーワードや問い合わせ文、見学前に確認したい方へ
シェアキッチンの探し方|検索キーワード・問い合わせ文・見学時チェックリスト
シェアキッチン利用の流れ
- 問い合わせ
- 見学
- (独自の衛生講習等があるなら受講)
- (作り手さん(シェアキッチン利用者)名義の許可をとる必要がある場合は保健所に申請、現場検査を受ける)
- (試作日の予約、試作日当日)
- 製造日の予約、製造日
- (マルシェ出店/発送/委託販売先に納品)
①問い合わせ
路面店型であれ、集合住宅の一室であれ、ふらっと行って見学、というよりは問い合わせの上、日時を約束して見学、という流れがほとんどなので、ホームページなどの問い合わせフォームやメールから問い合わせをしましょう。
※たまに、ホームページから問い合わせてもお返事がない時があります。
その際は、Instagramや他SNSなど、何か連絡がとれる手段を探して、諦めずに問い合わせましょう!
②何はともあれ見学に行こう
ネット上の情報ではわからなくても、現地に行ってわかることがたくさんあります。
- 自分自身のアクセスの良し悪し:荷物を運んで行く時はどのように行く?車?電車バス?
- 建物内は階段なのか/エレベーターなのか
- 周辺環境:忘れ物をした時とっさに買いに行く先があるのか
- 広さ/狭さ
- 設備
- 運営の方の雰囲気
気になるシェアキッチンを見つけたら、どんどん問い合わせ、見学に行きましょう!
見学時にチェックすること
ご利用の流れなどは運営者さんからご案内があるかと思いますが、その他の確認事項としては、
- 自分の商品がその許可で作れるか
- 作業のどこからどこまでをシェアキッチンで行う必要があるか
- 食材や荷物を事前に送れるか・保管できるか
- 冷蔵品・冷凍品を扱えるか
- 製造者・製造所のラベル表記はどうするか
- 食品表示ラベルの記載にルールはあるのか
- HACCPはやっているのか
- 利用規約・保険・事故時の対応はどうなっているか
- 通販の集荷や発送作業ができるか、他の利用者はどうしているか
- マルシェ用のテーブル・テント貸出があるか
- 見学時、室内の動画や写真を撮っても良いか
などなど、気になることは聞いてみましょう^^
③独自の衛生講習等があるなら受講
シェアキッチンのホームページに記載があったり見学時に案内されることが多いです。
- 決まっている日程に合わせる
- 日程を相談して決める
- 無料/有料
④作り手さん(シェアキッチン利用者)名義の許可をとる必要がある場合は保健所に申請、現場検査を受ける
シェアキッチン運営者も慣れていると思いますので図面など用意してくださるんじゃないかと想像しています。
運営者が保健所に申請に行くのか作り手さん(シェアキッチン利用者)が行くのかは確認の上、必要な手続きを踏んでください。
関連記事:【営業許可】お菓子の販売に必要な許可を自分でとる方法
⑤試作日の予約、試作日当日
マルシェの出店日が決まっていて(迫っていて)ぶっつけ本番で製造する方もいらっしゃいますし、ぶっつけ本番は怖いので、納得いくまで試作をする方もいらっしゃいます。
- 販売しないなら、生地を自宅で仕込むことを黙認する(オーブンの焼き加減を確認したい)
- 作業にどれくらい時間がかかるのか未知数なので、ゼロからラッピングまで一通り試したい
- ぶっつけ本番時も、材料を余分に持ってきておいて、最初に焼くもので試作をする
試作用の料金形態(3時間おまけなど)を用意しているシェアキッチンもありますし、料金形態は通常の製造と特に区別していないシェアキッチンもあります。
⑥製造日の予約、製造日
本番の製造日を決めて予約し、製造日までに
・食材
・包装資材
必要なら
・梱包資材(通販の外箱、緩衝材、同梱物)
・ラベル
を準備します。
- 荷物は事前にチェックリストを作っておく(とはいえ何か忘れる)
- 食材をシェアキッチンさんで受け取ってもらえるかどうか
- 荷物を運んだ後に卵などを買いに外出できるかどうか
⑦マルシェ出店/発送/委託販売先に納品
作ったお菓子を
- 一度持ち帰って、ラッピングしてからマルシェで販売/発送/納品
- シェアキッチンでラッピング、梱包までして発送して終える(近くの営業所や窓口に持参、事前に集荷依頼、ポスト投函)
ということで、一連の流れがひとまず完了します^^
問い合わせ・見学・予約・試作・製造日当日までの流れは、こちらの記事で詳しくまとめています。
シェアキッチンの探し方
シェアキッチンの具体的な探し方や問い合わせ文の例は、別記事で詳しく解説しています。
▶︎お菓子販売に使えるシェアキッチンの探し方|検索キーワード・問い合わせ文・見学チェックリスト
▶︎全国シェアキッチン一覧|お菓子販売に使えるレンタルキッチンを探す
よくある質問(FAQ)
Q1.シェアキッチンを借りたら保健所の許可が取れますか?
A.シェアキッチン運営者の許可書のもとで活動するなど、作り手さん(シェアキッチン利用者)が自分名義の許可を取らなくても活動できるシェアキッチンが割と多いです。
エリアによっては作り手さん(シェアキッチン利用者)名義の許可を取る必要のあるところもありますので、気になるシェアキッチンさんがあれば、問い合わせの上見学に行って、お話を聞かれることをおすすめします。
Q2.食品衛生責任者を取ればシェアキッチンを使えますか?
A.シェアキッチンによります。
シェアキッチン運営者さんの許可書の元で活動するシェアキッチンの場合は、食品衛生責任者の取得は必須ではない場合があります。
保健所の営業許可は、人の資格(食品衛生責任者)×物件の資格(保健所の要件を満たしたキッチン)のセットで取るため、シェアキッチン運営者さんの許可書が存在する時点で、「誰かはそのキッチンの食品衛生責任者となっている」のです。
なので、作り手さん(お菓子販売希望者)が、食品衛生責任者であっても、食品衛生責任者でなくても、保健所の営業許可としては関係がない、となります。
ただし、シェアキッチン運営者さんが「あんまり飲食の知識がない方にご利用いただくのも心配だなぁ…」ということで、食品衛生責任者の資格を持っていることをシェアキッチンの利用条件としている場合があります。
シェアキッチン利用を検討している場合は、まずは気になるシェアキッチンに問い合わせ、見学に行かれると良いです^^
Q3.見学では何を聞けばいいですか?
- 自分の商品がその許可で作れるか
- 作業のどこからどこまでをシェアキッチンで行う必要があるか
- 食材や荷物を事前に送れるか・保管できるか
- 冷蔵品・冷凍品を扱えるか
- 製造者・製造所のラベル表記はどうするか
- 食品表示ラベルの記載にルールはあるのか
- HACCPはやっているのか
- 利用規約・保険・事故時の対応はどうなっているか
- 通販の集荷や発送作業ができるか、他の利用者はどうしているか
- マルシェ用のテーブル・テント貸出があるか
- 見学時、室内の動画や写真を撮っても良いか
など、気になることはひとまず聞いてみましょう^^
Q4.シェアキッチンはどのくらい費用がかかりますか?
A.最初の利用で1万5000円〜2万円弱を見込んでおくと安心です。
- 初期費用・初回登録料など:5,000円〜1万円
- レンタルキッチン代:1時間500円〜2,000円
<はじめてのご利用>
5時間レンタルの場合
・初期登録料:11,000円(税込)
・レンタルキッチン代:1時間1,100円(税込)×5時間予約=5,500円(税込)
・事前のzoomでの衛生講習 :1屋号3,300円(税込)
合計:19,800円(税込)
<2回目以降>
・レンタルキッチン代:1時間1,100円×5時間予約=5,500円(税込)
Q5.荷物や材料は置いておけますか?
多くのシェアキッチンでは、利用日に荷物や材料を持参して、お菓子を作って、包装して持って帰る、という流れなので、「荷物は今日持って行って、今日持って帰る」という場合が多いです。
ただ、今日明日連続で2日間利用する、などの場合は、荷物など置かせてもらえるシェアキッチンもあります。
また、スポット利用というよりは定期利用者向けに、共同の冷凍冷蔵庫を置いているシェアキッチンさんもあります。
なかなか、初めてのことで「何から始めたら良いかわからない…」「これってどうしたら良いんだろう?」と思うこと、ちょこちょこ出てきますよね><
ある程度の正解のある話題であったり、シェアキッチン運営者さんが正解を持っている場合もありますので、気になることがあれば自己判断するよりは一度シェアキッチンさんに問い合わせてみるとスッキリすることが多いです^^
まとめ|シェアキッチンは小さくお菓子販売を始めたい人の選択肢
シェアキッチンは、大きな費用をかけて自分の工房を作る前に、小さくお菓子販売を始めたい方にとって心強い選択肢です。
ただし、どのシェアキッチンでも同じように使えるわけではありません。許可の種類、必要な手続き、利用料金、設備、利用ルール、通いやすさを確認することが大切です。
気になるシェアキッチンがあれば、まずは問い合わせて見学に行き、自分が作りたい商品と販売方法を伝えて相談してみましょう。
通販・マルシェ・委託販売で販売する時の具体的な注意点は、別記事で詳しく解説しています。
シェアキッチンを使う前に、あわせて確認したい記事
- 許可の考え方を確認したい方:シェアキッチンでお菓子販売する時に必要な許可とは?
- 探し方・問い合わせ文を知りたい方:シェアキッチンの探し方
- 使い方の流れを知りたい方:シェアキッチンの使い方
- 販売できるか確認したい方:シェアキッチンで作ったお菓子は販売できる?
- 作る場所全体を比較したい方:お菓子販売の作る場所と設備
シェアキッチンは、許可の種類、利用ルール、料金、設備、通いやすさによって使いやすさが大きく変わります。
「自分の商品は作れる?」「どこまでの作業をシェアキッチンでやるべき?」「見学時に何を聞けばいい?」と迷っている方は、個別相談で現在地を整理することもできます。
相談の前にお菓子販売の全体像をつかみたい方はメール講座をどうぞ▼







