「地域の農家や住民の方々が気軽に加工品の商品開発・製造ができるシェアキッチンができないか考えています」
奈良県宇陀郡(うだぐん)曽爾村(そにむら)の職員さんから、すたーとあっぷきっちんmagazineへ最初にご相談いただいたのは、2019年1月のことでした。
次にご連絡をいただいたのは、同年5月。奈良県の補助金に応募することにされたそう。
応募様式を一緒に見ながら書類を作成して提出。翌月、無事に採択されたとのご連絡がありました。
以前使われていて、でも今は止まっている加工場を再び活用するプロジェクト。
これは、ここから始まる物語です。
目次
曽爾村とは
奈良県の曽爾村、行かれたことはありますか?
立地としてはこういうところで、距離感としては、大阪から車で1時間50分、名古屋から車で2時間40分とのこと。
観光地なのです。
- 温泉
- キャンプ場・高原
- 観光施設
などがあります。
曽爾高原は美しく、「日本で最も美しい村」連合に加盟しています。
今回、その曽爾高原と観光施設にも案内していただいたので、後ほどご紹介させてください。
昔使われていた加工場。設備は立派。だけど、今の稼働率はほぼゼロ。

そして、早速加工場へ。
加工場の写真はいただいていたけど、実際に見ないとわからない。ということで、すたーとあっぷきっちんmagazineの木村、2019年7月15日に現地に行ってきました。
一言でいうと、「設備、とても立派ですね」
もともと、ふきの佃煮や果物のジュースなどを作っていたようです。
- お風呂のようなサイズの容器と漬物石
- 食材を洗うところ(こちらもお風呂サイズ!)
- 回転釜という大きなお鍋
- 商品を入れた瓶などを殺菌消毒する器具
- 果物を絞る圧搾機
- 液体を複数の容器に等量ずつ入れられる充填機
- ジャムのようなゲル状のものを入れられる充填機
- 瓶などのキャップを閉める機材
などなど…なかなか、個人では用意し難いものばかり。
この加工場自体は村の持ち物であり、現在は村の観光施設「曽爾高原ファームガーデン」が指定業者となって管理しているそう。
その施設に並べる商品を一部製造しているそうですが…そうはいっても、お茶など、日持ちがするものを月1回ほど仕込む程度。
稼働していない日が多いこともあって、村のためにもっと活用できたら、という発想になったそう。
村の所有物なので使い方は村のみんなに聞こうと、その日の夜に興味のある方に集まっていただいてのワークショップを企画しました。
曽爾高原とファームガーデンへ観光を

夜のワークショップまで少し時間があったので、曽爾高原と観光施設ファームガーデンへ連れて行っていただきました。
お恥ずかしながら、今回のご相談をいただくまで「曽爾高原」という観光地を知らなかったのです…

曽爾高原、観光施設、温泉と、何台も車が止まっていました。
みんなでアイディア出し、「そこで何をするか」
さて、開始時刻の17時に向けて、村内村外から続々と集まってきました。
村内の方は農家さんなど割と利用者に近い方、村外の方は今回の加工場を利用するというよりは、自分のエリアでもシェアキッチンがあったら良いなぁと考えている方、という方々でした。
最初に加工場見学

まずは現地を見ないと話ができないよね、ということでみんなで見学。
ぱっと見てわからない器具も多いので、高松さんと分担して説明して回ったりしました。
やっぱり広いし、置いてある機材は立派だし高価そうだしで、みんなテンションが上がっていました(笑
現場を見て想像を膨らませたところで、テーブルごとにワークショップを。
加工場でやりたいことを書き出そう
一人ひと束ずつ付箋を持っていただいて、ひたすら書く。他の方と同じ意見が出ても大丈夫で、これはひたすら各自が数を出していくことが大切なのです。
- ドライ野菜
- ドライフルーツ
- ジャム
- ケチャップ
- 野菜で作るソース
- ごま豆腐
- お菓子
- ジビエ
- 高齢者のお家にお弁当をお届け
- シェアキッチンでできた商品のコラボ商品
- 今後の移住者の仕事や副業になるようなもの
- 村に来た人が加工体験できるスペースに
- 日替わり食堂や子ども食堂
- 学校の給食
- 収穫体験/調理体験
- ママ友同士でグループ作った皆で商品を作って夏祭りなどで売ってみたい
- 月イチ イートフェス(食べたい人、作って食べてもらい人が集まる食のイベント)
他にも、たくさーん出してくださいました!
書き出したことを、2つの軸に沿って分類する

アイディアだけだとバラバラしてまとまりがないので、任意の基準を作ってグループに分けていきます。
今回は、この2つを軸にして考えました。
- すぐできそうなこと/改装が必要そうなこと
- 客席が必要/なくてもできそう
いろんな意見が、だんだんと整理されていきます。
例えば、「すぐできそうなこと」として野菜の酢漬けやお菓子作りなどが挙がり、「客席が必要なもの」としては日替わり食堂などが出ました。
やりたいことに必要な保健所の許可をさくっと解説
例えば単純にこれらのものを作りたいと考えた時、どんな許可が必要でしょうか?
- ドライ野菜
- ドライフルーツ
- ジャム
- ケチャップ
- 野菜で作るソース
- ごま豆腐
- お菓子
- ジビエ
ワークショップ開催当日は祝日のため保健所がお休みだったのでその場では確認できずでしたが、それでも木村の経験値から、
- ドライ野菜とドライフルーツ:許可が不要かも?
- ジャム:菓子製造業(+瓶詰め缶詰?)
- ケチャップや野菜で作るソース:調味料製造業やソース類製造業
- ごま豆腐:豆腐製造業
- お菓子:菓子製造業
- ジビエ:生肉加工+販売する場所で生肉販売
それぞれの許可が必要になります。
基本的には、1つの部屋で取れる許可は1つです。しかし、今回の加工場のあるエリアの保健所に確認したところ、1つの部屋で複数の許可が取れるそうです。
例えば、菓子製造業と調味料製造業が同じ部屋で取れます。豆腐の製造許可も取れるかもしれません。しかし、名古屋でシェアキッチンを4年運営していて、保健所のルールとしては不可能ではないかもしれませんが、【程度の問題】はあるなと感じています。やはり作れるものの品目の数だけ事故が起きてしまう危険性が増します。さらに、利用する方も増えるわけです。
つまり、作るひと、作れるものを絞り込んだ方が、事故のリスクは減ります。
そして、【誰が何を作るか】が見えてくると、【何の許可を取るか】が見えてきます。
次回の話し合いのネタ
ということで、次回の課題が見つかりました。
- 実際のところ、誰が使うのか
- この加工場で何を作りたいのか
- 誰が全体を管理するのか
- それらを、どのように決めるのか
これらを今回のように、
- アイディア出し
- 2つ軸を作って整理する
という形で考えていきます。
https://startupkitchen-magazine.com/2019/08/04/report-sonimura-2/
https://startupkitchen-magazine.com/2019/09/09/report-sonimura-3/
終了しました:次回は8月6日18:00〜
次回は2019年8月6日(火)18:00スタートです。
ご興味ある方、是非ぜひお越しください^^
お申込みページは整い次第、本記事や、すたーとあっぷきっちん&magazineのLINE@でご案内致します。
募集:シェアキッチンの立ち上げレポートを募集しています
本記事をご覧いただいている方や周りにシェアキッチン運営、立ち上げに携わっている方がいらっしゃいましたら、是非その体験談をお寄せください。
いろんなケースバイケースを知ることで、同じことを思い描いている方の助けになったら良いなぁと思うのです。
- 有志が集まってシェアキッチンを立ち上げようとしている。
- すでにシャアキッチンを運営している方が立ち上げ支援に入る。
- 今立ち上げている最中というものでも、すでに立ち上げたものでも大歓迎です。
宜しくお願い致しますm(_ _)m
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