「栄養成分表示って必要ですか?」

「栄養計算は、栄養士さんにお願いしないとできませんか?」

お菓子販売を始める方から、よくいただくご相談です。

栄養成分表示では、エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目を記載します。

難しそうに感じますが、文部科学省の食品成分データベースを使えば、食品成分表の数値をもとに自分で計算することもできます。

この記事では、お菓子販売で必要になる栄養成分表示の基本、栄養計算のやり方、省略できるケース、食品成分データベースを使う時の注意点を、できるだけわかりやすくまとめます。

「まず全体の流れをつかみたい」という方に向けた記事です。

この記事で分かること
  • 栄養成分表示とは何か
  • お菓子販売で必要な栄養成分表示の5項目
  • 栄養成分表示を省略できるケース
  • 検査に出す方法と推定値で計算する方法の違い
  • 食品成分データベースを使った栄養計算の流れ
  • シェアキッチン利用時や通販時に確認したいこと

動画で見たい方はこちら

栄養成分表示とは?

栄養成分表示とは、食品に含まれる栄養成分を、お客様に伝えるための表示です。

お菓子のパッケージの裏側などに、

エネルギー
たんぱく質
脂質
炭水化物
食塩相当量

と書かれている、あの表示です。

「これ1個でこんなにカロリーがあるの〜!?」と思うこと、ありますよね。笑

あれが、計算結果です。

食品表示ラベルというと、名称、原材料名、賞味期限、保存方法、製造者などを思い浮かべる方が多いと思いますが、栄養成分表示も食品表示ラベルの中に含まれます。

お菓子を販売する場合は、食品表示ラベルの内容とあわせて、栄養成分表示についても確認しておきましょう。

食品表示ラベル全体の書き方は、こちらの記事で詳しくまとめています。

▶︎食品表示ラベルの書き方|お菓子販売初心者向け完全ガイド

栄養成分表示に必要な5項目

栄養成分表示では、基本的に次の5項目を記載します。

  1. エネルギー kcal 四捨五入して整数
  2. たんぱく質 g 四捨五入して小数点第一位
  3. 脂質    g 四捨五入して小数点第一位
  4. 炭水化物  g 四捨五入して小数点第一位
  5. 食塩相当量 g 四捨五入して小数点第一位

栄養成分表示を書く際は、項目名はこの順番で記載します。

表示例としては、次のような形です。

食品表示_栄養成分_記載例
記載例

注意点

  • タイトルは「栄養成分表示」とします。
  • 記載の栄養成分が、どれくらいの量に対しての栄養成分なのか示します。
    例:1枚当たり、1袋当たり、10g当たり
  • 個人的には、ラベルに記載の内容量と合わせて、はかりやスケールを使わなくても「この袋に含まれている栄養成分はどれくらい」とわかる方がお客様に対して親切だと考えています。
    例:10g当たりと記載するならラベルの内容量はgで記載する 等
  • (推定値)と記載します。
    推定値という文言がない場合、「許容差をはずれる値がない」という意味合いになります。しかし、厳密にはお菓子の部分部分によって栄養成分が変わる可能性がある場合(許容差をはずれる可能性がある)には「推定値」と記載します。

栄養成分表示は省略できる?

栄養成分表示は、基本的には記載が必要です。

ただし、製造者が小規模事業者の場合は、栄養成分表示を省略できる場合があります。

消費税法第9条第1項において、消費税を納める義務が免除される事業者又は中小企業基本法第2条第5項に規定される小規模企業者(概ね従業員が20人以下。商業サービス業は5人以下)が販売するものについては栄養成分表示を省略できます。

しかし、省略できる場合でも、

「まったく計算しなくて良い」

というよりは、お客様からお問い合わせをいただいた時に、速やかに答えられるよう、手元では計算しておくと安心です。

また、小規模事業者であっても、販売先や販売形態によっては、栄養成分表示が必要になる場合があります。

  • 催事で販売する
  • スーパーや小売店に卸す
  • 広い流通に乗せる
  • 委託販売先から表示を求められる など

といったケースでは、表示が必要になることがあります。

「自分の場合は省略できるのか?」は、販売方法や販売先によって変わるため、迷う場合は保健所や販売先に確認しましょう。

栄養成分の数字を出す方法は2つ

栄養成分表示に書く数字の出し方は、大きく分けて2つあります。

  • 検査機関に出して、実際にカロリー検査をしてもらう
  • 食品成分表の数値をもとに、推定値として自分で計算する

検査に出す方法

検査に出す方法は、専門機関に商品を送り、栄養成分を測定してもらう方法です。

実際の商品を検査するため、より正確な数値を出しやすい方法です。

ただし、費用がかかります。

また、商品ごとに検査が必要になるため、小さなお菓子屋さんが最初からすべての商品を検査に出すのは、負担が大きい場合があります。

実際に検査機関へ依頼して、賞味期限や栄養成分を確認した体験談はこちらの記事でまとめています。

▶︎お菓子の賞味期限の決め方|スコーンを検査に出して設定した体験談

推定値として自分で計算する方法

もう1つの方法が、食品成分表をもとに自分で計算する方法です。

文部科学省の食品成分データベースを使えば、各食材に含まれるエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量などを調べることができます。

その数値をもとに、レシピに使う材料の分量に合わせて計算します。

食品成分表を使った数値は、実際に検査した数値ではなく、あくまで推定値です。

そのため、食品表示ラベルに記載する時は、必要に応じて「推定値」などの表示を入れる場合があります。

この記事では、小さなお菓子屋さんが取り組みやすい、食品成分データベースを使った栄養計算の流れを解説します。

食品成分データベースを使った栄養計算の流れ

栄養計算は、ざっくり言うと次の流れで行います。

  1. レシピに使う材料を書き出す
  2. 同じ食材はまとめる
  3. 食品成分データベースで食材を探す
  4. 使用量に合わせて栄養成分を計算する
  5. レシピ全体の合計値を出す
  6. できあがり個数や販売単位で割る
  7. 食品表示ラベルに記載する

順番に見ていきましょう。

栄養計算は、中身としては比例計算をやっています。

食品成分表には「食材100g中の栄養成分」が書いてあります。

なので、「自分は何g使うか?」「だからこのくらい入っている!」を計算で出していくイメージです。

1. レシピに使う材料を書き出す

まずは、レシピに使う材料と分量をすべて書き出します。

たとえばクッキーなら、

  • 無塩バター 90g
  • 薄力粉 80g
  • グラニュー糖 20g
  • 塩 ひとつまみ:0.5gなど、重量にする

2. 同じ食材はまとめる

同じ食材を複数回使っている場合は、分量を合算しておきます。

3. 食品成分データベースで食材を探す

次に、食品成分データベースで、それぞれの食材を探します。

食品成分データベース

(画像は食品成分データベースからお借りしました)

食品成分データベースでは、食材ごとの栄養成分を検索できます。

ここで少し難しいのが、いつも使っている名前と、食品成分データベース上の名前が違うことがある点です。

食品成分データベース 検索のコツ
  • 無塩バター→食塩不使用バター
  • 卵→鶏卵の全卵?卵黄?卵白?
  • アーモンドプードル→「アーモンド」の「乾」あたりが無難
  • 薄力粉・強力粉:1等と2等が出てきますが、市販のものは大抵1等です。

4. 使用量に合わせて栄養成分を計算する

食品成分データベースでは、基本的に100gあたりの数値が表示されています。

そのため、レシピで使う分量に合わせて計算します。

たとえば、100gあたりのエネルギーが〇〇kcalの食材を50g使う場合は、その半分の数値になります。

このように、各材料ごとに、使用量に合わせてエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量を計算します。

5. レシピ全体の合計値を出す

各材料の数値を出したら、レシピ全体で合計します。

  • バターのエネルギー
  • 薄力粉のエネルギー
  • グラニュー糖のエネルギー
  • 塩のエネルギー

を足して、レシピ全体のエネルギーを出します。

同じように、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量も合計します。

ここまでで、レシピ全体の栄養成分が出ます。

6. できあがり個数や販売単位で割る

次に、できあがり個数や販売単位で割ります。

たとえば、レシピ全体でクッキーが20枚できる場合は、レシピ全体の数値を20で割ると、1枚あたりの栄養成分が出ます。

4枚入りで販売する場合は、1枚あたりの数値に4をかけると、1袋あたりの数値が出ます。

栄養成分表示では、

1個あたり
1袋あたり
100gあたり

など、どの単位で表示するかを決めて記載します。

お客様が見てわかりやすい販売単位で表示すると良いです。

7. 食品表示ラベルに記載する

計算した数値を、食品表示ラベルに記載します。

表示する時は、

  • エネルギー kcal 四捨五入して整数
  • たんぱく質 g 四捨五入して小数点第一位
  • 脂質    g 四捨五入して小数点第一位
  • 炭水化物  g 四捨五入して小数点第一位
  • 食塩相当量 g 四捨五入して小数点第一位

の順番で書きます。

推定値であることを記載します。

栄養成分表示だけでなく、名称、原材料名、アレルギー表示、内容量、保存方法、賞味期限、製造者・製造所なども合わせて確認しましょう。

栄養成分表示の数字が出せたら、食品表示ラベルに反映して印刷します。A4プリンターやラベルライターで食品表示ラベルを作る方法はこちらの記事でまとめています。

▶︎食品表示ラベルプリンターおすすめ|A4プリンター・ラベルライターの選び方

食品成分データベースを使う注意点

  • 書籍の食品成分表に記載されている食品はデータベースに記載があります(食品成分表の本に載っていないものはデータベースにも載っていない)
  • 最新でない場合があります(基本は食品成分表の本が最新)
  • レシピのgで計算した栄養成分は出ますが、出来上がり個数で割るなどの計算はCSVデータでダウンロードして手元で計算する必要があります。(CSVデータ=エクセルのようなもの)

例題:実際に栄養計算してみよう!

何はともあれ、手を動かしていこうということで、次のレシピのパン1個の栄養成分を求めてみましょう!

<パン 4個分>
・強力粉 250g
・上白糖 18g
・インスタントドライイースト 3g
・塩 6g
・オリーブ油 4g

回答

パン1個分の栄養成分はこちら▼

エネルギー  240kcal
たんぱく質  7.8g
脂質     2.0g
炭水化物  49.7g
食塩相当量 1.5g

いかがですか?できていましたか?^^

YouTube動画の中では、実際の食品成分データベースの画面を使って説明していますので、「???」となった方は併せてご覧ください!

▼動画:【栄養成分表示】初心者でも簡単!栄養計算をマスターしよう!
https://youtu.be/EN5JYH-MmG8

よくある質問

みなさんからよくいただく内容に回答していきます!

シェアキッチンで作る場合は省略できますか?

当時、すたーとあっぷきっちん名古屋を管轄している名古屋市中保健所を通じて確認した際は、ネット通販やシェアキッチン利用の場合でも、作り手さんそれぞれの屋号のメンバーが5人以下であれば省略できる、という回答でした。

ただし、販売先や販売形態によって判断が変わる場合があります。実際に販売する際は、最新情報を確認し、必要に応じて保健所や販売先に確認してください。

省略できる場合でも、お客様から問い合わせをいただいた際には速やかに回答できるように、事前に計算しておくと安心です。

食品成分表に記載のない食品はどうやって計算したら良いですか?

使っている食材そのものに栄養成分表示の記載がある場合が多いので、その数値を用いて計算します。

(もしくは、食材に栄養成分表示の記載がない場合は、食品成分表に記載の食材で代替する場合もあります)

参考図書:食品表示検定 初級テキスト

ラベルを作る人は、手元に1冊あると本当に便利です!

この記事を書いている木村自身もめちゃくちゃ見ます!
お値段以上に活用しまくっています!

困った時の辞書として使えます!

参考図書:食品成分表とは?

食品成分票は、食品成分データベースの元になっています。

食品の辞書のようなもので、その食品の可食部100gに含まれる、各種栄養成分の数値が載っているものです。

※可食部:皮などを除く、食べられる部分

オススメ!大修館書店「ビジュアル 食品成分表」

食品成分表
画像はAmazonからお借りしました

各出版社さんからいろいろ出ており、一番は、書店で眺めてみて、自分が一番見やすいものを購入することです(書いてある栄養価の数字は、どの出版社さんも共通しています)

ですが、書店に行ってる時間がないよー!という場合はこちらの一冊がオススメです!

まとめ

いかがでしたか?

栄養成分表示とは、食品に含まれる栄養成分を、お客様に伝えるための表示です。

お菓子販売では、基本的に、

  • エネルギー
  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • 食塩相当量

の5項目を確認します。

栄養成分の数字を出す方法には、検査に出す方法と、食品成分データベースを使って推定値として計算する方法があります。

小規模事業者の場合は、栄養成分表示を省略できるケースもあります。

ただし、省略できる場合でも、お客様から聞かれた時に答えられるよう、手元では計算しておくと安心です。

栄養計算は、最初の1回がいちばん大変です。

ですが、レシピの材料を整理して、食品成分データベースで数値を確認し、販売単位に合わせて計算していけば、自分でも進めることができます。

完璧に一人で抱え込まず、必要なところは保健所や専門家に確認しながら、少しずつ整えていきましょう。

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