マルシェ販売の価格設定|売れやすさと利益のバランス
「心を込めて作ったお菓子、いくらで売ればいいんだろう……」
初めてマルシェに出店する時、悩みやすいのが価格設定です。
「この値段で高くないかな?」
「安くしないと売れないかな?」
「出店料や交通費は価格に入れていいのかな?」
「完売したのに、手元にお金が残らなかったらどうしよう」
そんな不安が出てくる方も多いと思います。
マルシェは、お客様と直接お話ししながら販売できる、とても楽しい販売方法です。
買ってくださるありがたみがわかり、リピーターさんができたり、他の出店者さんや主催者さんとの横のつながりができたりすることもあります。
だからこそ、価格設定では「安くすれば売れる」ではなく、お客様に手に取っていただきやすく、自分も楽しく続けられる価格を考えることが大切です。
この記事では、マルシェ販売でお菓子の価格を決める時に見ておきたい、出店料・交通費・包装資材・まとめ買い・売れ残り対策・ディスプレイの考え方を整理していきます。
- マルシェ販売で価格設定に迷いやすい理由
- 材料費だけで価格を決めない方が良い理由
- 出店料、交通費、包装資材、自分の人件費の考え方
- 原価3割に縛られすぎなくて良い理由
- まとめ買いで客単価を上げる工夫
- 売れ残りを減らすための事前注文や取り置き
- 価格以上の価値を伝えるディスプレイや発信の考え方
- 出店料や交通費を価格に入れるか迷っている方
→ お菓子販売の原価計算|月1販売・継続販売・原価に入れるものを解説 - 「原価3割」に合わせるべきか迷っている方
→ お菓子の利益率はどれくらい必要?原価率・粗利・手元に残るお金の考え方 - 完売しても利益が残るか不安な方
→ お菓子販売のお金の考え方|原価・価格・利益を迷わず整理する基本ガイド
目次
マルシェ販売は楽しいことも、大変なこともある
マルシェ販売には、楽しいことがたくさんあります。
お客様と直接コミュニケーションを取ることができます。
最近はPayPayなどのキャッシュレス決済も増えましたが、現金のやり取りをする場合もあるので、買ってくださるありがたみがよくわかります。
リピーターさんができるかもしれません。
他の出店者さんや主催者さんと横のつながりができることもあります。
一方で、大変なこともあります。
- たくさんのお菓子を短期間に作ること。
- ラッピングやラベル作り、ディスプレイを用意すること。
- 当日は基本的に自分で運搬、設営、撤収すること。
- 作ったお菓子が売れるかどうかは、当日になってみないと分からないこと。
だからこそ、マルシェ販売の価格は「いくらなら売れそうか」だけでなく、「いくらなら続けられるか」も一緒に考えていきましょう。
マルシェ出店の「本当の原価」を見てみよう
価格を決める前に、まずは今回の出店にいくらかかったのかを書き出してみましょう。
毎日製造するわけではないスモールスタートの場合、1g単位で細かく計算するよりも、今回の販売・出店に向けてかかった費用の合計を把握する方が、実態に近いお財布感になります。
マルシェ販売で書き出しておきたい費用は、たとえば次のようなものです。
- 食材費
- 包装資材
- ラベル
- レンタルキッチン代
- マルシェ出店料
- 当日の交通費
- 駐車場代
- 製造時の交通費
- お客様用の持ち帰り袋
- ショップカードやチラシ
- テーブル、テント、ディスプレイ用品
マルシェによって、出店料や規模もさまざまです。
同じお菓子を同じ価格で販売しても、出店料が2,500円のマルシェと15,000円のマルシェでは、手元に残るお金は変わります。
まずは「今回の出店のために出ていったお金」を見える化してみましょう。
「原価は売値の3割」に縛られすぎなくて大丈夫
よく「原価3割」と言われます。
ですが、3割でなければならない理由はありません。
マルシェ販売でも、すべての商品を同じ原価率にそろえる必要はありません。
- 買いやすい入口商品
- 売れたらラッキー!高単価ギフト商品
- その場で食べやすい商品
- まとめ買いしやすい商品
このように、商品ごとの役割を分けて考えると価格を決めやすくなります。
大切なのは、1個ごとの価格だけでなく、出店全体で見た時に、材料費や出店料を回収できるか、次の販売につながるかを見ることです。
売上からかかった費用を引いた残りが、自分の人件費
価格は、基本的に自由に決められます。
【いくらでなければならない】ということはなく、【自分がつけたい金額】に設定して良いのです。
ただし、売上から食材費や包装資材などの製造原価、レンタルキッチン代、マルシェなら出店料、当日の交通費、製造時の交通費などを差し引いた残りが、自分の人件費になります。
- お菓子を作る時間
- 包装する時間
- ラベルを貼る時間
- 荷物を準備する時間
- 当日運搬する時間
- 設営して販売する時間
- 撤収する時間
マルシェ販売は、当日お店に立っている時間だけが仕事ではありません。
だからこそ、安くしすぎて苦しくなる価格ではなく、「また出店したい」と思える価格にすることが大切です。
完売できるとうれしいです。
ですが、完売しても手元にお金がほとんど残らなければ、続けることが難しくなります。
お客様に喜んでいただきながら、自分も続けていける価格を考えていきましょう。
客単価を上げる「まとめ買い」の工夫
マルシェでは、単品価格だけでなく、まとめ買いの価格も考えられます。
たとえば、1個350円。
通常だと3個1,050円。
3個まとめて買うと1,000円、とか。
よく、「靴下1足でいくら、3足でちょっとお得」とか、ありますよね!
お客様にとっては、少しお得に買える。
お店側にとっては、一度に複数個買っていただきやすくなる。
このように、マルシェでは「1個いくら」だけでなく、「何個買うと選びやすいか」も考えると良いです。
たとえば、焼き菓子なら、
1個で買える価格。
3個で少しお得な価格。
手土産にしやすいセット。
ギフト袋入りの詰め合わせ。
というように、選び方を用意しておくと、お客様も買いやすくなります。
ただし、まとめ買いを安くしすぎると利益が減ってしまいます。
原価や包装資材、出店料も見ながら、お客様にとってちょっと嬉しい、そしてお店としても続けやすい価格にしていきましょう。
単価アップにつながる「その場で食べられる商品」
マルシェでは、商品そのものの見せ方や組み合わせによって、単価を上げられることもあります。
すたーとあっぷきっちん木村の場合として、マルシェで手ごねパンを販売した時に、パンを作るだけでなくサンドイッチにして包装したものを持っていって販売していました。
その場で食べられる商品にすることで、単価アップにつながったという事例です。
お菓子でも同じように、単品で売るだけでなく、
- 飲み物と合わせる(自分のお店だけで難しいなら共同出店や隣近所のお店と協力)
- 詰め合わせにする
- ギフト袋に入れる
- その場で食べやすい形にする
- 食べ比べセットにする
など、少し見せ方を変えることで、価格の見え方が変わることがあります。
「安くする」のではなく、価格に見合う楽しみ方を作るという視点も大切です。
最後は「価格」ではなく「価値」で選ばれる
競合商品、類似商品、他社商品の価格を調べてみることは大切です。
ただし、安売り合戦に参加する必要はありません。
最後にお客様が見ているのは、あなたのお菓子の価値が、つけた価格より上回っているかです。
- どれだけ考えられているか
- どれだけ吟味されているか
- どんな材料を使っているか
- なぜこのお菓子を作っているのか
- どう食べるとおいしいのか
- どんな人が作っているのか
- どれだけ手間がかかっているか
こうしたことは、知らなければ「ないこと」になってしまいます。
POPやプライスカード、SNS、ショップカードなどを使って、お客様に伝えていきましょう。
マルシェでは、目の前にお客様がいるからこそ、言葉でお伝えできることもたくさんあります。
ディスプレイで価格の見え方も変わる
マルシェの現地は、ジャケ買いです。
お客様はお菓子自体より先に、遠目から見たお店の雰囲気で、近づくかどうかを判断しています。
机に並べるだけだと、床から70cmの机の高さの位置に、のっぺりと並ぶことになります。見せ方の工夫、大事です◎
- 高さを出してあげる:ショーケース、ラック、リンゴ箱などを使って商品の高さを上げる
- 動きをつけてあげる:ビンに入れる、バットに入れるなどして、並べ方に表情をつけてあげましょう
同じ価格でも、見せ方によって印象は変わります。
ただ机に並んでいる商品よりも、世界観があり、選びやすく、内容がわかりやすい商品の方が、お客様に手に取っていただきやすくなります。
価格だけを下げるのではなく、価格に見合う見せ方を整えることも大切です。
売れ残り対策は、前向きな販売の準備
1回の出店だけで完売御礼。
それはもう万々歳です。
しかし、そうなるかどうかは、当日が終わってみないと分かりません。
- たくさんの場所で売る
- 2日、3日と続けて出店する
- 事前に注文を受けておく、取り置き、配送
- 買い取ってくれる先を見つけておく
- 日持ちするものを作る
初めての出店で、明日はまた違うところ、その次の日は別のところへ出店するのは、なかなか大変です。
だからこそ、現実的には、
- 事前に注文を受けておく。
- 買い取ってくれる先を見つけておく。
- 日持ちするものを作る。
このあたりを考えておくと安心です。
売れ残り対策というと少し後ろ向きに聞こえるかもしれませんが、実際には作ったお菓子を必要な方に届けきるための準備です。
前日までが9割。価格設定は告知ともつながっている
マルシェ出店は、当日もできることがたくさんあります。
- SNSでこまめに発信する。
- 通りすがってくださったお客様にお声がけする。
ですが、今日行く予定のなかった人に、その日その場に来ていただくことは、なかなかハードルの高いことです。
だからこそ、いかに事前にアナウンスをして、スケジュール帳に「〇〇マルシェに行く」と書き込んでいただくかが勝負です。
- 繰り返し投稿する。
- お取り置きを受け付ける。
など、事前にできる努力をしていきましょう^^
これは価格設定にも関わります。
事前に欲しい方が見えていると、作る数も決めやすくなります。
お取り置きがあると、当日の売上の見通しも立てやすくなります。
マルシェ価格は、当日その場だけで決まるものではなく、前日までの準備や発信ともつながっています。
まとめ|仮の価格でまず1回販売してみよう
価格設定は、一度決めたら変えられないものではありません。
まずは、今回の出店にかかる費用を書き出し、売れやすさと続けやすさの両方を見ながら、仮の価格を決めてみましょう。
食材費、包装資材、レンタルキッチン代、マルシェ出店料、交通費、駐車場代、ラベルやショップカードなどを含めて考えると、手元に残るお金が見えやすくなります。
マルシェは、ただ売る場所ではなく、お客様と出会い、お店を知っていただく場所でもあります。
お客様の反応を見ながら少しずつ調整し、自分もまた出店したいと思える価格を育てていきましょう。
「原価計算シートを作ってみたけれど、これで合っているか不安」
「自分の利益、これだけしか残らないの?」
「マルシェでいくらで売ればいいかわからない」
「売れやすさと続けやすさのバランスを知りたい」
そんな方は、まず原価・出店料・交通費・包装資材・販売数を整理してみましょう。
小さなお菓子屋さんLabでは、小さくお菓子販売を始めたい方に向けて、原価計算・価格設定・マルシェ出店・製造場所・食品表示ラベルなど、販売前に確認したいことを一緒に整理するサポートをしています。
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