ラベル

【2025年版】食品表示ラベル完全版|記載内容編(名称〜製造者)

・マルシェに出店することになって、見よう見まねでラベルを作っているけど合っているのか不安💦
・勉強のために他店のお菓子を買ってみたけど、ラベルの書き方がお店によって違う😭
・ネットで調べても、ページによって書いてあることが違ってわけがわからない😱

というあなたへ、食品表示ラベルに書くことをまとめました!本記事を読んでいただくと、ラベルに書く内容がわかり、ご自身で作れるようになります!

参考図書:食品表示検定 初級テキスト

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そもそも食品表示ラベルとは?

市販のお菓子を買う時、裏面を見て、「ああ〜、こんなにカロリー高いんだぁ…だけど買っちゃお」と思ったこと、ありませんか?
ずばり、そのラベルです。

旧法から新法に変わりました

20250402_食品表示ラベル_7_旧法新法

元々は、
・JAS法
・健康増進法
・食品衛生法
というそれぞれ異なる法律があり、法律ごとに記載内容が異なっていました。

それぞれの法律で記載内容が異なってややこしい、ということで、2015年、記載内容についてまとめた食品表示法ができました。

例:食品表示ラベル

20250402_食品表示ラベル_表示例

食品表示ラベルは、ある程度の”正解”があって、同じレシピで10人ラベルを作ったら、ある程度同じラベルが10個出来上がります。しかし、多少”書き方のバリエーション”があるので、上図に提示した書き方と異なる書き方も可能です。

本記事で表示の例として提示しているからといって、すたーとあっぷきっちんをご利用でない方が製造所として上図のように書いても責任は負えませんので悪しからずです。

食品表示ラベル作成の3ステップ

  1. 記載内容を考える◀︎このページはココ
    栄養計算/栄養成分表示についてはこちら
  2. データを作る
  3. 印刷して完成!

大丈夫です、本記事を読んで、順番に取り組んでいただければ作れるようになりますので、くじけずいきましょう!

食品表示ラベルの記載内容

20250402_食品表示ラベル_記載内容
  1. 名称
  2. 原材料名
  3. 内容量
  4. 保存方法
  5. 賞味期限/消費期限
  6. 製造者/製造所

順番に見ていきましょう!

①名称

奇抜な名称や特殊な名称ではなく、一般消費者が見てわかりやすいものにしましょう。
例 洋菓子、和菓子、洋生菓子、焼菓子 など

ラベルは誰のためのものかというと、お菓子屋さんのためではなく、お買い物をする消費者の方のためのもの。一般の方がわかりやすい言葉で書きましょう!

フレーバー違いで種類がある場合は、( )の中にフレーバーなどを書いておくとわかりやすいです。

商品名を書きたい場合は、名称の上、欄外に記載しましょう(商品名の記載は任意です)

②原材料名

基本は、
原材料 / 食品添加物、(アレルギー表示)
です。

原材料

入れる量(重さ)が多い順。一番多いものの原料原産地を書きます(2022年4月1日から必須)
例 小麦粉(国内製造)

「北海道産小麦であること強調したい」のであれば、
 小麦粉(小麦(北海道産))
※注意:小麦粉(北海道産小麦)は不可。

例 卵(愛知県産) 卵(国産)
例 バター(国内製造)

※一番多い原材料が1つとは限りません。

・市販の加工品を使う場合は、複合原材料として記載する必要があります。

複合原材料

チョコレートなどの加工品をお菓子に入れることはありますか?すでに製造・加工された、2種類以上の原材料からできている原材料のことを「複合原材料」といいます。チョコレートの他、飾りに使う市販のクッキーやチーズなどが挙げられます。

原材料欄に記載する場合、原則は仕入れた「複合原材料名」で記載します。

▼例えば、以下の市販クッキーをお菓子作りの材料として使ったとします。

名称:クッキー
原材料名:小麦粉(国内製造)、砂糖、ショートニング、鶏卵、バターオイル、植物油脂、マーガリン、卵黄、食塩/乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

複合原材料の書き方(基本)

原材料欄に複合原材料(複合原材料の原材料を記載)/ 複合原材料に含まれる添加物

▼例(太字が複合原材料)
他の原材料、クッキー(小麦粉、砂糖、ショートニング、鶏卵、バターオイル、植物油脂、マーガリン、卵黄、食塩)、他の原材料/他の添加物、乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

複合原材料の表示の例外

複合原材料の原材料が3種類以上あり、複合原材料の原材料に占める重量割合が上位3位以下かつ複合原材料に占める割合が5%未満であるものは、まとめて「その他」と表示することができます。

▶︎原材料の割合について、市販クッキーの製造元でなければわからないはずなので(尋ねるとしたらお客様相談室に問い合わせる…ですが、製造元の企業としては【企業秘密です】と回答する可能性が高いのでは…という予想です)、省略は難しいという考えです。

実際に、ラベル講座の生徒さんの添削で加工品(ミックス粉)の製造元に問い合わせたのですが、やはり原材料のパーセンテージは企業秘密につき回答できない、とのことでした^^;

複合原材料の原材料省略バージョン1

一般に原材料がわかるものは、名称の記載でOKです。

▼例(太字が複合原材料)
他の原材料、クッキー、他の原材料/他の添加物、乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

ただし、「この加工品は原材料を省略して良い、この加工品は原材料を省略できない」という一覧表はなく、保健所の見解は「線引きが難しい」とのことです。

ラベル講座受講の生徒さんの添削で「栗の甘露煮」について、複合原材料として原材料の記載が必要であるか保健所に問い合わせたところ、「栗の甘露煮という表現が一般的な表現かどうかは行政で判断するのではなく、表示責任者の判断です」という前置きがあった上で、「複合原材料として栗の甘露煮の原材料を書いてもらった方が無難です」という回答でした^^;

複合原材料の原材料省略バージョン2

出来上がった製品、つまり作るお菓子に占める複合原材料の重量割合が5%未満(4.999…%、5%を含まない)である場合、複合原材料の原材料を省略できます。

複合原材料の分割表示

単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がない複合原材料を使用する場合について、次の2つの条件に当てはまる場合は複合原材料に使用された原材料を分割して表記することができます。

条件1:消費者がその内容を理解できない複合原材料の名称の場合。

条件2:複数の原材料を単に混合(合成したものは除く)しただけなど、消費者に対して複合原材料として情報を提供するメリットが少ないと考えられる場合。

複合原材料を分割して表示する場合は、その複合原材料のすべての原材料及びそれ以外の使用した原材料について、原材料に占める重量割合の高いものから順に、その最も一般的な名称で記載します。

市販の「加糖卵黄(卵黄に砂糖を加えたもの。紙パックで冷凍で流通していることが多いです)」を仕入れ、製造したパウンドケーキの表示例

▼例:複合原材料として表示した場合
加糖卵黄(卵黄(卵を含む)、砂糖)、小麦粉、バター/膨張剤

▼分割して表示した場合
小麦粉、バター、卵黄(卵を含む)、砂糖/膨張剤

省略だ分割だなんだと書きましたが、ラベル作成は落ち度をなくす作業なので、基本的には使っているものはすべて書き、加工品は複合原材料として、カッコの中に複合原材料の原材料(ややこしいw)を書いた方が無難です。

食品添加物

・原材料の後ろにスラッシュを書いて、食品添加物を記載します。
・ベーキングパウダーやバニラエッセンスなど意外な添加物があります。
食品添加物は、その商品自体に「食品添加物」と記載があります
市販の加工品(複合原材料)に含まれる食品添加物も記載が必要です。ただし、五感に影響しないものはキャリーオーバーとして省略可ですが、抜け漏れ落ち度をなくすことを考えると、略さず記載することが無難です。

アレルギー表示

(一部に〇〇を含む)という表記をよく見かけますね。そう、それです。

小さなお菓子屋さんのアレルギー表示の最適解は、表示が義務の食材のみ(特定原材料)、一括表示で書く、だと考えています。

解説します。

アレルギー表示義務のある食材、表示が任意である食材

食物アレルギー

アレルギー表示が義務の食材(特定原材料)と、アレルギー表示が任意の食材(特定原材料に準ずるもの)があります。

アレルギー表示が任意の食材は、書きたいものだけを書くことはできず、どれか一つを書いたら、他の任意食材もすべて確認して、入っていたら記載しなければなりません。

アレルギー表示の書き方①:個別表示と一括表示

アレルギー表示を書く時の【カタマリ】の話です。

個別表示:原材料や食品添加物、一つ一つにアレルゲンを記載していくもの。どの食材に何のアレルゲン(アレルギーの原因物質)が入っているかわかるので、食物アレルギーを持つ方々の商品選択の幅を広げるため、原則は個別表示で書く、とされています。

一括表示:一部に〇〇・〇〇を含む、といった形で、使用したアレルゲン(アレルギーの原因物質)をまとめて書く方法です。個別表示で表示できない場合や個別表示がなじまない場合には、例外的に原材料欄の最後にまとめて表示を行う一括表示が認められています。

個別表示と一括表示は併用できません。

アレルギー表示の書き方②:名称、代替表記、拡大表記

アレルギー表示を書く時の【言葉】の話です。

基本的には、下図の左端【特定原材料】の名称で書きますが、言い換えた表現として、真ん中【代替表記】(記載されている言葉のみ使用可能)や右端【拡大表記】(表記例、とあるように、厳密に言葉が決まっているわけではない)での表現も可能です。

アレルギー表示 特定原材料

ただし、特定原材料【乳】の場合は、原材料に含む場合、
❌:一部に乳を含む
⭕️:一部に乳成分を含む
です^^;

▼下図は、記載が任意の食材の中から、お菓子販売の方々に関連しそうな食材を抜粋しました。

アレルギー表示 任意

個別表示と一括表示で比較してみた

同じ原材料名のものを、個別表示と一括表示で書き分けてみました。

個別表示(太字がアレルギー表示)

原材料名:小麦粉、砂糖、植物油脂、バターしょうゆ(小麦・大豆を含む)乳化剤(大豆由来)、膨張剤

・小麦粉:小麦の拡大表記
・卵:特定原材料の名称そのもの
・バター:乳の代替表記


一括表示(太字がアレルギー表示)

原材料名:小麦粉、砂糖、植物油脂、卵、バター、しょうゆ/乳化剤、膨張剤、(一部に小麦・卵・乳成分・大豆を含む)

いかがですか?個別表示と一括表示、【混ぜるなキケン⚠️】ですよね^^;

アレルギー表示よくある間違い①カッコの中は「・(ナカグロ)」

(一部に小麦乳成分卵を含む)の、小麦と乳成分の間、乳成分と卵の間は「、」ではなく「・」です。

アレルギー表示よくある間違い②一括表示のカッコの前に「、」必要

原材料名:小麦粉、砂糖、植物油脂、卵、バター、しょうゆ/乳化剤、膨張剤(一部に小麦・卵・乳成分を含む)

膨張剤とカッコの間の「、」が必要なんです…。

理由は【個別表示と混同しないため】です。基本的にカッコは直前の原材料や食品添加物にかかるので、もし、膨張剤とカッコの間に「、」がないと、【小麦・卵・乳成分を含む膨張剤を使っている】という解釈になるのです^^;

「、」があることで、直前の原材料や食品添加物にかかるのではなく、原材料名全体にかかるカッコである、という意味合いになります。

アレルギー表示よくある間違い③乳を含むと書きがち

バターや生クリーム、チーズ等を使った場合、ついつい、
❌ (一部に乳を含む)
と書きたくなってしまいますが
⭕️ (一部に乳成分を含む)
という書き方が正解です。

この辺りは、「こういうもんだ」と思って覚えてください^^;

そもそも食物アレルギーとは?

アレルギーは、花粉症、アトピー性皮膚炎、金属アレルギーなどいろいろな種類があります。本記事では、食物アレルギーをアレルギーと記載します。

アレルギーは、特定の食べ物に含まれる「アレルゲン(アレルギーの原因となる物質で、ほとんどはタンパク質)」に免疫機能が過剰に反応してしまい、体にさまざまな症状を起こすものです。その人その人でアレルゲンとなる物質が異なります。

症状は、せき、喘息発作、嘔吐、腹痛、下痢、じんましん、むくみなどさまざまで、その症状の重さ軽さも人によります。血圧が下がって意識が遠のいてしまうアナフィラキシーショックが一番重たいです。

恐ろしいところは、「アレルギーが起こるか起こらないか、またどのくらいの重さなのかは、基本的に本人が食べてみないとわからない」ので、そのお菓子や食品に「何が入っているのか」を示すことはとても大切なのです。

コンタミネーションとは

コンタミネーション(contamination)は汚染(すること、の状態)、汚濁、汚濁物)という意味で、「コンタミ」などと略して言われます。

原材料として使用していないにもかかわらず、アレルゲンが微量混ざってしまうことがあります。この場合については表示義務はありません。

しかし、食物アレルギーはごく微量であっても発症することがあるので、使用する道具を十分に洗浄してコンタミネーションの防止策を徹底することが求められています。

コンタミ注意喚起の一文

「本品製造工場では、卵・乳を含む製品を製造しています」
「小麦を使用した設備で製造しています」

同一製造ラインを使用することや、原材料の採取方法などにより、アレルゲンが混入される可能性が否定できない場合には、原材料表示欄外に注意喚起をすることが望ましいです。

注意喚起の記載は義務ではなく、企業側の努力の部分です。

シェアキッチンでの製造とアレルギー対応

いろいろな作り手さんがいろいろな食材を持ち込む可能性があるシェアキッチンで、小麦を使わず「グルテンフリー」を意識して米粉を使用していた場合でも、「グルテンフリー」とうたっていただくことは危険です。

理由は、利用先のシェアキッチンに食材制限がなければ、基本的にあらゆる食材が使われているため、同じシェアキッチンを使用している他事業者が小麦を使っている場合が十分にあります(衛生面は一旦置いておいたとして、ボウルやゴムベラなどの備品を持参したとしても、焼き場を使う場合はオーブンの中に小麦が舞っている可能性がゼロではありません)

とはいえ、小麦アレルギー対応だと主張したい場合には、書けても「原材料には小麦を使用していません」までかな、という所感です。アレルギーフリーについても同様です。

③内容量

・グラムだけでなく、何枚、何個なども可。

・透明な袋に入っていて、開封しなくても、外から見て内容量が明らかな場合は、内容量という項目自体を省略可能です。

④保存方法

・直射日光、高温多湿を避けて常温で保存
 要冷蔵(10度以下)
 要冷凍(-15度以下) など。

お客様だけでなく、製造者/販売者も守るべきものになります。なので、要冷蔵(10度以下)と書いた場合、マルシェなどの販売時、配送時などもその保存方法を守る必要があります。

要冷蔵、要冷凍の商品をマルシェで販売したい場合、例えば、商品の見本を陳列しておいて、在庫は保冷バッグに入れておいて、売れたら保冷バッグから商品を出してお客様にお渡しする、ということも可能です^^

⑤賞味期限/消費期限

「このお菓子は〇日でないといけない」という決まりはなく、自由に設定可能です。ただし、お菓子屋さんご自身が責任を持てる日付にしましょう^^

賞味期限か消費期限か、どちらの言葉を使うかに関しては、
・美味しく食べられる期限→賞味期限
・安全に食べられる期限→消費期限
ということで明確な期間の指定はないのですが、目安として、
・5日以内→消費期限
・5日より長い→賞味期限
という考えがあります。

原則は年月日表示です。
例 2023.04.01、 23.4.1、令和5年4月1日、5.4.1 等

同じ商品を作り続ける場合は、賞味期限を空欄にしておいて、日付スタンプで記載することが可能です。

今まで、手書き不可…と伝えてきたのですが、保健所に確認したところ、「手書き可」とのことでした。ただし、「文字サイズ8pt(8ポイント)以上でお願いします」とのことなので、なんだかんだ、パソコンなりスマホなり、デジタルでデータを作る必要があるよなーと感じた次第です^^;

たまに「本日中」と書かれたラベルを見ました、というお声をいただく時がありますが、「本日」が何年何月何日なのかわからないので、不可です。

賞味期限/消費期限は、【第三者が見ても、何年何月何日かわかる記載】にしましょう。

⑥製造者/製造所

ご自身の許可書がある場合は、製造者欄に、許可書の名義と住所の記載のみで、製造所は記載不要です。

シェアキッチンを利用される場合は、ご利用先のシェアキッチンオーナーさんにご確認ください^^

すたーとあっぷきっちんで製造した場合

作り手さんが管轄の名古屋市中区の保健所さんに問い合わせてくださり、保健所さんが消費者庁に確認して回答くださいました!ありがとうございます!

製造者欄:
作り手さんの住所と作り手さんの氏名

欄外に製造所:
作り手さんの氏名
(すたーとあっぷきっちん内)
名古屋市中区栄3-35-21 菱家ビル906

屋号、電話番号は任意です。
(保健所や消費者庁としては、人格は法人か個人しかないので、屋号や店名のみの記載は不可です)

食品に何かあった場合の回収義務は製造者にあります。

まとめ:食品表示ラベルの記載内容

20250402_食品表示ラベル_記載内容

いかがでしたか?なかなか、盛りだくさんでしたね^^;

省略や免除について

基本的には【使ったものはすべて書く】なのですが、記載を免除される場合があります。

  • 食品表示ラベルの免除(店内製造販売:義務表示の特例)
  • 食品添加物の表示の免除
  • 食品添加物を省略できない場合
  • 「単なる無添加」「単に不使用」と言いにくいです

食品表示ラベルの免除(店内製造販売:義務表示の特例)

例えば、パン屋さんで買い物をする時、棚に陳列されたパンをトレイにのせ、レジに持って行き、お会計をして…という流れで買い物をすることがあります。

その際、食品表示のラベルなどはもらわない場合がほとんどです。

食品表示ラベルが貼られていない場合、大抵そのお店の一角に製造室(厨房)があります。

「製造をしている施設と同施設内で販売する場合は、不明な点はその場で店員に聞けばわかるので、食品表示を貼らなくても良い」というルールがあるためです(義務表示の特例

店内で作っているケーキ屋さん、和菓子屋さん、パン屋さん、お惣菜屋さんなどは、食品表示ラベルが貼られていない場合がほとんどです。

食品添加物の表示の免除

使用した添加物(自分が使った食材でなくても、使った市販の加工品に含まれている添加物)は、すべて表示することが原則です。ただし、次のような場合は該当する添加物の表示が免除されています。

  • 加工助剤
  • キャリーオーバー
  • 栄養強化の目的で使用されるもの

加工助剤

食品の加工の際に使用されるもののうち、完成前に除去されたり、食品中にごくわずかな量しか残らず最終製品に影響がない添加物や、最終的にその食品に含まれている成分と同じ成分となるもので、その成分の量もほとんど増加させないもの。

最終製品に影響がない:色や匂いなど、五感に影響のないもの。


みかん缶詰製造時の「塩酸」など(薄皮とり)
砂糖の精製に使用した「骨炭」(こつたん:脱色)
食品の保存のために包装時にガス置換した「二酸化炭素」

キャリーオーバー

その食品の原材料として使用される加工食品(複合原材料)に使用されている添加物で、最終食品には残っていても微量であり効果を発揮しないもの。

例:しょうゆの保存料:なぜなら、原材料に使った加工品の封を切った時点で、添加された保存料は一旦役目を終えるから。

栄養強化の目的で使用されるもの

栄養強化の目的で使用されたビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類については、表示を省略できます。

例:お菓子に栄養強化の目的で使用された「ビタミンC」
ただし、調製粉乳、調整液状乳、果実飲料、豆乳類、即席めんなどのように、栄養強化の目的で使用されるものであっても表示の省略を認められていない品目もあります。

ただし、例えば同じ「ビタミンC」であっても、栄養強化以外の目的で使用する場合は表示しなければなりません。

例:清涼飲料水に、栄養強化の目的ではなく酸化防止剤としてビタミンCを使用した場合は「酸化防止剤(ビタミンC)」と表示します。

食品添加物を省略できない場合

五感に関わる食品添加物
味や色や匂いなど、五感に影響する食品添加物は省略できません。

特定原材料(表示義務のアレルゲン)に由来する食品添加物
加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化の目的等、その添加物自体が表示を省略できる場合でもアレルゲンに関する表示の省略は認められていません。

「単なる無添加」「単に不使用」と言いにくいです

もともとは、食品添加物「不使用」、「無添加」という表示は、事業者が任意で記載していました。しかし、食品添加物を使っている事業者と使っていない事業者で意見が割れ(食品添加物を使っている組は「安全性を確認して使っている」と言いたがり、食品添加物を使っていない組は「体に良くないから使うのはいけない」と言いたいわけです)、「消費者が正しく判断できないのではないか」ということで2022年3月にガイドラインが作成されました。

そもそも、食品表示基準 第9条によって禁止されている表示というものがあります。

  • 第1項第1号 実際の食品より著しく優良又は有利であると誤認させる表示
  • 第1項第2号 義務表示事項の内容と矛盾する表示
  • 第1項第13号 内容物を誤認させるような表示

先述の「食品添加物の表示の免除」を思い出してください。食品添加物を使っていても、食品添加物の表示が免除されてしまう、つまり、食品添加物が使われていても表示されているとは限らない場合が出てきます。

そこで、食品添加物を使いたい組から、食品添加物表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる表示というものが出てきました。

  • 類型1:単なる「無添加」の表示
  • 類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
  • 類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
  • 類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示
  • 類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
  • 類型6:健康、安全と関連付ける表示
  • 類型7:健康、安全以外と関連付ける表示
  • 類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
  • 類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示
  • 類型 10:過度に強調された表示

そこで、話の着地点として、何が無添加、何が不使用、と明記する方向になりました。

消費者庁 食品添加物 ガイドライン
引用:消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の啓発チラシ・ポスター

無添加の表示がすべてダメというよりは
何が無添加なのか
何が不使用なのかを明記すれば
無添加や不使用という表記が使える
とのことです^^;

栄養成分表示の省略

栄養計算・栄養成分表示に解説した記事で解説します!

▶︎栄養成分表示、省略できますか…?

よくある質問

さらに長くなりますが、みなさんからよく質問されることをまとめました!

  • 【原材料】材料の重量が同量の場合は、記載の順番はありますか?
  • 【賞味期限】どうやって決めたら良いかわかりません…
  • 【製造者】住所、書かないといけませんか…?
  • 【記載】表示スペースが狭い場合、表のようにせず、続けて記載していくことは可能ですか?

【原材料】材料の重量が同量の場合は、記載の順番はありますか?

例えば〈パウンドケーキ〉砂糖100g、無塩バター100g、薄力粉100g…のように、一番重量の多い食材が複数ある場合は、どう書いたら良いですか?

保健所さん回答:
すべて同じグラム数なら、食材の記載順番に優先度はありません。つまり、任意の順番(好きな順)でOKです。

ただし、原料原産地も全て表示する必要があります。

例 砂糖(国内製造)、無塩バター(国内製造)、小麦粉(国内製造)

【賞味期限】どうやって決めたら良いかわかりません…

回答:極論、ご自身が責任を持てる日にちにしましょう!

お菓子屋さんが、ご本人の舌で確かめて決める場合もありますし、検査センターに出して科学的根拠をもって決める場合もありますし、併用している場合もあります。

長くなるので別記事で解説しますね!

【製造者】住所、書かないといけませんか…?

保健所(もっというと消費者庁)からすると、

  • 誰が作ったの?
  • 誰が製造責任を負うの?
  • 消費者が食べて具合悪くなったら、誰に責任を追及したら良いの?

という考えで、【氏名と住所は必須(屋号と電話番号は任意)】となっています、、、

載せる住所がご自宅しかない場合、住所載せるの、怖いですよね><

ただ、人様の口に入るものなので、ある意味そのくらいの覚悟を持って取り組んでいただけたらと思います><

【記載】表示スペースが狭い場合、表のようにせず、続けて記載していくことは可能ですか?

保健所さん(名古屋市中区)に問い合わせたところ、

一括表示(名称から製造者などの情報すべて)は、法律上は別記様式といって、表状態のように書くことが基本です。

ただし、パッケージの都合など、消費者の方に誤解を与えない範囲で、多少書き方をアレンジして(くずして)書いても良いとのこと。

改行の際も、スラッシュを入れて次の内容にしても良いです。

とはいえ、基本は表のような形なので、国も自治体も、くずした表示例は出していないと思います、とのことでした^^

まとめ:法律は変わるのでアップデートし続ける

いかがでしたか?なかなか、なかなかに盛りだくさんでしたね^^;

例えば、アレルギーの食材が増えたり減ったりするように、今後も法律は変わっていくので、常に情報をキャッチして、アップデートしていきましょう!

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