お菓子屋さんを始めたいと思ったとき、意外と悩むのが「どんな設備が必要?いくらかかる?」という点です。

シェアキッチン、自宅、工房…どのスタイルを選ぶかによって必要な設備は変わりますが、共通して押さえておきたい基本設備があります。

この記事では、お菓子製造に最低限必要な設備と、費用の目安を、初心者の方向けにわかりやすくまとめます。

物件の配管設備や製造場所の規模感、予算にもよりますので一つの参考事例にしていただけたらと思います。

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お菓子製造に必要な基本設備一覧

まずは、多くの菓子製造で必要になる「基本セット」から見ていきましょう。

① オーブン(最重要)

焼き菓子・パン・ケーキなどを作る場合、オーブンは最も重要な設備です。

  • 家庭用電気オーブン(中古):無料(すでに所有)〜1.2万円程度
  • 家庭用電気オーブン(新品):5万円〜10万円程度
  • 小型の業務用ガスオーブン(100V)(中古):3万円程度〜
  • 小型の業務用ガスオーブン(100V)(新品):10万円、20万円程度〜
  • 業務用ガスオーブン(3相200V)(新品):100万円以上?(未知の領域です!)

シェアキッチンを利用する場合は、すでにオーブンが設置されていることが多く、初期費用を大きく抑えられます◎

シェアキッチンによっても、家庭用のオーブンレンジ、小型のガスオーブン、プロ仕様のガスオーブンなど、何がいくつあるかは異なるため、気になるシェアキッチンがあれば見学にいくことがおすすめです。

初代 ガスオーブン(リンナイ RCK-10M(a) メルカリ先生で3万円程度)

ガスオーブン

元々中古で購入したものですが、購入後もだいぶ長いこと活躍してくれまして…

ただ、点火不良のエラーが続くようになりまして、ガス屋さん(東邦ガス)やリンナイさんに見ていただいたのですが、特に不良な部分はなく…「オーブンの寿命では…」とのことだったので、泣く泣く買い替えました。

2代目 ガスオーブン(リンナイ RCK-10AS 楽天市場で送料込み120,900円)

初代ガスオーブンはボタンがカチカチとダイヤルを回すアナログタイプでしたが、2代目ガスオーブンはデジタル表記になっていました。

今現在(2025年12月)も使い続けています。

歴代 家庭用電気オーブン:容量は30L程度。他にこだわりポイントは特にありません。

電気オーブン
電気オーブン

今までに何台か買い替えています。その際、メーカーやシリーズに特にこだわりはなく、ただ容量は、【大は小を兼ねる】ということで、30L程度で選んできました。

価格としては、中古で12,000円〜14,000円くらいだったかなと思います。

シェアキッチンという特性上、オーブン含め全てのものは消耗品と考えています。

シェアキッチンをご利用くださる方々は皆さん素敵な方ばかりですが、それぞれ色々なお菓子やパンを作られるので、オーブンの使い方もさまざまです。きっと、一人のお菓子屋さんが同じような使い方を長年するよりも備品への負担はあると考えているので、「壊れたら買い替える」くらいの気持ちで、「壊れても泣かない」ものしか置いていません。

② 冷蔵庫・冷凍庫

材料保管・仕込み・製品保管に欠かせません。

  • 家庭用 冷凍冷蔵庫:0〜10万円程度
  • 業務用 冷凍冷蔵庫(中古):20万円程度
  • 業務用 冷凍冷蔵庫(新品):20〜40万円程度

製造量が少ないうちは家庭用でも対応できるケースがありますが、保健所の指導内容は地域によって異なるため、事前確認がおすすめです。

最初の最初の冷蔵庫:前の入居者さんが置いていってくださった、一人暮らしサイズの冷蔵庫を使っていました…!

最初の冷蔵庫

工事風景の写真の中に冷蔵庫の写真が残っていました(笑)コレです、これ。隣のシンクと比較しても天井の高さと比較しても、「小型な冷蔵庫」ということがわかりますよね。

2代目 家庭用冷蔵冷凍庫(多分おそらく現在2025年12月も現役です)

家庭用冷凍冷蔵庫

こちらの冷蔵冷凍庫も、特にメーカーなどのこだわりはなく…ただ、容量はそれなり(ファミリーサイズ)が良いだろうなぁという選定軸のもと、その時ちょうど良い価格感、納期で出ていたものを買ったと思います。

③ シンク(2槽以上が基本)

食品営業許可では、2槽シンク以上を求められることが多いです。

  • 1槽シンク×2つでもOKです。
  • 2槽シンク(新品):5〜15万円程度
  • 3槽シンク:10〜25万円程度

シェアキッチンでは基準を満たしたシンクが設置済みのことがほとんどです。

エリアによってはシンク1つ+食洗機1つでもOK、という保健所さんもあるので、ご自分の工房を作ろうと考えている場合は、製造場所の住所を管轄(かんかつ。意味は「担当」)している保健所さんに、まずは電話で問い合わせてみると良いです^^

すたーとあっぷきっちんでは1槽シンクを2つ設置。2つ目のシンクは工事業者さんが選んでくださいました

シェアキッチン工事 2槽シンク

画像の左側が元々あったシンク(当時で築30年シンク)で、右側が改装工事の際に設置していただいたシンクです。元々あったシンクの後継モデルを選んでくださったとのこと、ありがとうございます^^

④ 手洗い設備

製造用シンクとは別に、手洗い専用の設備が必要です(シンクを3つ設置して、1つを手洗い用のシンクとすることも可能と認識しています)

  • 手洗い器設置:3〜10万円程度

自分でセレクトしましたが工事業者さんに選んで買ってもらったら良かったとプチ後悔…

シェアキッチン工事 手洗い

こちらの手洗い器です(10年前、2015年当時で28,000円(税込)ほどでした)

シェアキッチン工事 手洗い

画像で言うと部屋の奥に見えますが、扉入って右手に設置していただきました。壁の向こう側は洗濯機置き場で、壁の向こう側の上水を引いてきて、手洗い器の排水をまた壁を抜いて流しています。

後悔としましては…

  • サイズが小さくて使いにくかった(保健所の設備要件としては、寸法や容量のサイズ規定は特にありません)
  • 蛇口を壁側(画像向かって左側)についた手洗い器にした方が良かった。
  • おしゃれさより実用性を求めるべきだった。

良かったこととしては、

  • たまたま偶然、ボタンを押すと水が出て、一定時間経つと自動で水が止まる

その後(2021年)に法改正があって設備要件が若干変わったので、この点は結果オーライでした◎

手洗い設備の要件追加

2021年6月の食品衛生法改正により、手洗い設備の要件が、「洗浄後の手指の再汚染を防止できる構造を有するもの」となりました。言い換えると、「洗った後の手で触らなくても水が止まるもの」です。

具体的には、

  • センサー式(触らなくても自動的に水が止まる)
  • 足踏み式
  • レバー式(肘などで操作)

といったもので、蛇口を手でひねって水を出し、手でひねって水を止めるものは何かしらの対策を求められました。

そこで、こういった、蛇口の部分を長いレバーに変更する商品の需要が高まりました。

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⑤ 作業台(ステンレス)

生地作り・成形・包装作業などに使用します。

  • ステンレス作業台:2〜8万円程度

木製は衛生的に不可の場合が多いため、ステンレス製が無難です。

ニトリ:ワークテーブル(シナモ12078WH ステン)

ニトリ 作業台

購入した2021年当時は40,640円+送料2,200円でしたが、2025年12月現在商品ページを見てみると、49,990円+送料6,600円になっているので、なかなか、物価上昇の波を感じますね。。。

ちなみに、配送員さんが組み立ててくださいましたが、配送員さんもモノを理解しているわけではないようで、一緒に図面見ながら組み立てました^^

その他あると便利な設備

  • ミキサー・フードプロセッサー(2〜20万円)
  • 計量器(デジタルスケール)(3千円〜1万円)
  • ラック・保管棚(1〜5万円)
  • 包装台・シーラー(1〜5万円)

最初からすべて揃える必要はなく、売れ始めてから少しずつ追加する方が現実的ですし、ご自身の工房であれば、最初の頃は、「自宅ではお菓子作りはしない」と決めて、今まで使っていた道具を工房に置いておくと、最小限の設備投資で始められます。

スタイル別|初期費用の目安

スタイル初期費用目安
自宅+家庭用設備3〜20万円
シェアキッチン利用0〜数万円(焼き型の追加購入など)
小規模工房(中古設備)数万円〜150万円
工房(新品設備)200万円〜

初心者さんへの現実的なアドバイス

最初から完璧な工房を目指す必要はありません。

  • まずはシェアキッチンで製造経験を積む
  • 売れる商品・量を把握する
  • 必要な設備だけを見極める

このステップを踏むことで、ムダな設備投資を防ぐことができます。

実際、すたーとあっぷきっちんをご利用の作り手さんで、今はご自分の工房を持たれた方が、「ここ(すたーとあっぷきっちん)で使って良かったから買った道具があります」とおっしゃっていました^^

道具類も専門的なものになると何万円かはしますので、いきなり買って使って「自分には必要なかったかも…」となる前に、シェアキッチンで試して、良かったら自分の工房を作る時に買ってみる、というのも選択肢の一つです。

Q&A|よくある質問

Q.道具は新品が良いですか?中古でも良いですか?

A.機材の費用によります。

中古だとメーカーの保証などがないので、故障や不調の時に実費での修理や買い替えの検討になります。その代わり、購入代金が新品より安いことが多いです。また、前の持ち主がどのように使っていたかも見えない、把握できない部分です。

新品の場合は大抵メーカー保証があります。商品代金の高い機材を導入する時には、「メーカー保証がついているから」という理由で新品を購入するお菓子屋さんもいます。

本記事中の人は、シェアキッチンという特性もあって、「置いてある備品は基本的に消耗品(オーブンなども、消耗品)」と考えていますので、メルカリなど中古品をフル活用しています。

Q.業務用でないといけませんか?

A.家庭用でも業務用でも、どちらでも大丈夫です。

小型の業務用のガスオーブンを2-3台置いているお菓子屋さんもありますし、家庭用の電気オーブン2台で製造しているお菓子屋さんもいます。

業務用のオーブンは電気工事が必要な場合もありますので(家庭用は100Vで、業務用は三相200Vのものあり)、製造場所の環境や改装費の予算によります。

Q.ガスオーブンの方が良いですか?電気オーブンでも良いですか?

A.ガスオーブンでも電気オーブンでも、どちらでも大丈夫です。美味しく作れて、ご自身が使いやすければOKです。

個人的には、ガスオーブンの方が火力が強くて美味しく焼ける、という印象ですが、シェアキッチンご利用のお菓子屋さんで、ガスオーブンと電気オーブンを使い比べてみて、電気オーブンの焼き上がりの方が好み、という方がいらっしゃいました。

ガスオーブンはガスの元栓が必要なので、元々ガスの元栓があるのか、元栓がない場合はガス管工事をするのかしないのか、ということも含めての検討になります。

番外編:設置可能なら欲しかった設備

急速冷凍機or業務用の冷凍庫

シェアキッチンでのお菓子の製造、極力製造時間が短くなったらきっと作り手さん(シェアキッチンご利用のお菓子屋さん)に喜んでいただけるかなぁと思いまして…

粉をはかるところから、お菓子を作って、焼いた後、冷めて包装するところまでをシェアキッチンでしていただくことになるので、早く冷めたらその分レンタル時間が短くなる(もしくは、同じレンタル時間で多くの量を製造できる)かなぁと思って、急速冷凍機やブラストチラーの導入を考えたことがあるのですが、部屋の電気が30アンペア以上に上げられず、30アンペアはエアコン1台+電気オーブン2台でも飛ぶ時があるくらいなので、これ以上電気の負荷がかかる機材を置くことは難しいと思い、買うに至っておりません、、、

まとめ|設備は「売上に合わせて育てる」

お菓子屋さんの設備は、最初から揃えるものではなく、売上と一緒に育てていくものです。

無理のないスタートを切りながら、少しずつ理想の環境を作っていきましょう^^

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ABOUT ME
yuko kimura
名古屋で菓子製造/飲食店営業許可付きシェアキッチン"すたーとあっぷきっちん"を営んでます / @startup5kitchen / '88年名古屋生 / 名工大建築卒 / 栄養士 / 一児の母 / 民間補助金のような、お菓子を作って売りたい方が頼れる財団を作りたい!