防火管理者

誰も教えてくれない防火管理

実は、小さなお菓子屋さんを営む上で役所関係は保健所だけではなかったんです…!

「防火管理者が必要と言われても防火管理者という言葉、初耳です💦」

消防署の防火管理について解説していきます!

動画で見たい方はこちら

保健所だけでなく消防署にも問い合わせの必要あり

お菓子を作って売ろうと思うと保健所の営業許可が必要です。ですが、役所は保健所だけで良いかというと実はもう一つ行くべきところがありました…!

それが、消防署です。

製造環境によっては、次のものが必要になります。

  • 消防署の防火管理講習(乙種)の受講
  • 消防計画の作成と提出
  • 自主的な消防訓練、消防点検を行う必要(義務)

(リサーチ不足を棚にあげると…The縦割りという感じで、保健所では特に案内はありませんでした^^;)

本記事は防火管理者の講習テキストのまとめです

防火管理者 講習 テキスト

消防のプロではないので、名古屋市 防火・防災管理【新規】講習 乙種を受講した時にもらったテキストに書いてあることをまとめました。

すたーとあっぷきっちんは設置義務あり

すたーとあっぷきっちんの場合、防火の考え方として、

・共同住宅の一室
・来客のない作業場
(防火の建物の区分には「飲食店」という項目もありますが飲食店とは判断されませんでした)

 ↓

防火管理者の設置は義務ではない

と、判断されたのですが、入居している共同住宅の規模感(1フロア6室×9階+大家さん一家)が防火管理者の設置義務のある規模感(収容人数50人以上)であるため、すたーとあっぷきっちんにも防火管理者の設置が必要(義務)となりました。

受講が必要かどうかは電話で確認可能

防火管理者が必要かどうかは、管轄(製造場所のあるエリア)の消防署に電話で問い合わせすると教えてくれます^^(住所等ヒアリングされます)

小さなお菓子屋さんの気持ちとしては
・防火/消防の知識はあった方が良いけれど
・いろんな提出物が増えるのは大変
だと思いますので、

気持ちとしては【防火管理者の設置義務がない方が負担は軽い】というのが実情です。

ちなみに、電話で問い合わせる際、防火対象物の用途区分を見ながら話しができると、義務か義務でないかだけを聞くより納得感があります^^;なので、どのみち、防火管理者の講習の受講はオススメです。

シェアキッチン製造の場合はオーナーに確認

シェアキッチンを借りて製造する場合は、シェアキッチンのオーナーさんに確認しましょう!オーナーさんを飛び越えて消防署に電話しても問題はありませんが、もし、万が一、オーナーさんが悪意なく防火管理者のことを知らず、防火管理者の設置が必要なのに設置していなかった場合に話がややこしくなるので、

シェアキッチンの作り手さん

 ↓

シェアキッチンオーナーさんに聞いてみる

 ↓

シェアキッチンオーナーさんから消防署に確認してもらう

という流れの方がスムーズです。

未選任、未届けは消防法令違反

義務の裏側には、「違反したら罰則!」がありますね^^;

<防火管理者の未選任>

消防法第8条第3項に基づく消防長又は消防署長の防火管理者選任命令に違反した場合は、管理権原者及び法人に対して、消防法第42条及び第45条により、罰則規定が定められています。

・管理権原者:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金
(情状により懲役と罰金の併科する場合があります)

・法人:50万円以下の罰金

<防火管理者選任(解任)届出書の未届け>

消防法第8条第2項に基づく防火管理者選任の届出を怠った場合は、管理権原者に対して消防法第44条により、罰則規定が定められています。

・管理権原者:30万円以下の罰金又は拘留

防火管理者が必要な時にやること

例えば、自分の工房でお菓子屋さんを営んでいた場合、以下が必要です▼

  1. 防火管理者(乙種)を受講する
    事前予約必要
    1日講習(9:30-16:30) 4,200円(税込)
  2. 防火管理者選任届出書を作成して提出する。
  3. 消防計画作成届出書を作成して提出する。
  4. 消防計画を作成して提出する。
  5. 日々の防火管理業務を行う。

身近にある火災

お菓子屋さんを営んでいてもいなくても、火やガス、電気を使って生活する以上、火災は切っても切り離せない話題ですね。

ガス周り

防火 火災のニュース

引用:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H52_R20C15A6CC1000

コンセント火災

そもそも防火管理者とは?

消防法第8条では、学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店など、多数の者が出入りし、勤務し、または居住する防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者に対して、

防火管理者を定め、

当該防火対象物について
消防計画の作成
消火、通報及び避難の訓練の実施等
防火管理上必要な業務を行わせること

義務付けています。

防火管理の重要性

毎年、全国では約15分に1件の割合で火災が発生しているそうです…

火災による損害は2つに分けられます▼
・直接的損害:建物や財物の焼失 等
・間接的損害:社会的信用を失う 等

火災の多くは、ちょっとした不注意や油断によって発生しており初期消火の失敗、消防用設備等の不備、避難誘導の不手際等により、被害を大きくしています。

防火管理者は万が一、火災が発生した場合の人的/物的な損失をよく認識し、火災の予防及び被害を軽減する具体的かつ実効性のある対策を従業員一人ひとりに徹底し、防火管理を推進することが重要です。

管理権原者と防火管理者

防火対象物の管理について権原を有する者(=管理権原者:権限ではなく権原。法律用語で、ある法律行為や事実行為をすることを正当とする法律上の原因)は、

防火管理を推進する責任者(防火管理者)を選任し、防火管理の最終責任者です。

例:所有者、賃借人、占有者の他、工場長や支店長、店長 等

防火管理者は、防火管理を推進する責任者として、防火管理業務に従事する者等に対し、必要な指示及び命令を行い、火災の発生を未然に防止するとともに、火災が発生した場合には、被害を最小限にとどめるため種々の対策を講じる責任があります。

防火管理を怠ると責任を問われます

防火管理業務は刑法上の「業務」に該当するので管理権原者や防火管理者は必要な注意義務を怠ると業務上の過失責任を問われることになります。

例 消防用設備等の設置及び維持を怠り、消防計画の作成及びこれに基づく適切な訓練等を怠り死傷者を発生させたことで業務上過失致死傷に問われる。

火災により財産上の損害を与え、また、死傷者が発生すると被害者から損害賠償を請求されるのも一般的なことです。

防火管理者が必須な防火対象物

消防法施行令第1条の2条3項により、防火管理者を選任しなければならない防火対象物が決められています。(それぞれ収容人数等の規定があります)

  1. 養護老人ホーム等(収容人数10人以上のもの)
  2. 特定防火対象物 (収容人数30人以上のもの)
  3. 非特定防火対象物(収容人数50人以上のもの)
  4. 新築工事中の建築物(収容人数50人以上のもの)
  5. 建造中の旅客船 (収容人数50人以上のもの)

防火対象物の用途区分(施行令別表第一)

一から二十まである中から、小さなお菓子屋さんに関連しそうな項目を抜粋しました。

(三)ロ 飲食店
(四)百貨店、マーケット
   その他の物品販売業を営む店舗又は展示場

(五)ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅
(十二)イ 工場又は作業場
(十五)前各項に該当しない事業所(例 エステ)

赤字は特定防火対象物(飲食店、ホテル、病院、物品販売店など不特定多数の方が出入りする建物)です。

防火管理者が実施する主な業務

  1. 消防計画の作成
  2. 消火、通報及び避難の訓練の実施
    特定防火対象物については、施行規則第3条により消火訓練及び避難訓練を年に2回以上実施しなければならない
  3. 消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備
  4. 火気の使用又は取扱いに関する監督
  5. 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
  6. 収容人員の管理
  7. その他防火管理上必要な業務

消防計画の意義

消防計画は、防災管理の基本となるものです。

火災等の災害を起こさないためにはどうしたら良いか、誰がどのような行動をとらなければならないか、事業所の一部の者が行えば良いのではなく、全従業員が一致協力してこそ、実効的に防火管理体制となります。

誰でも理解できるように定めておくことが必要です。従業員だけでなく、事業所に出入りする者にも遵守させなければなりません。

消防計画の届出

提出先:事業所が所在する地域を管轄する消防署

提出期限:当該防火対象物の使用開始まで

添付書類:
・建物配置図(隣接建物の状況含む)
・消防用設備等配置図
・その他の設備配置図
・その他消防計画に必要な資料

消防計画の構成

消防計画は、防火対象物の規模感によって構成が異なります。小さなお菓子屋さんたちは小規模な対象物である場合が多いと想定して、小規模な場合の消防計画の構成を記載します。

※小規模対象物とは、
〜300㎡の特定防火対象物
〜500㎡の非特定防火対象物 

小規模対象物の場合
  1. 設備・機器等の点検及び担当者
  2. 日常における火災予防上の遵守事項
  3. 火災発生時の任務分担
  4. 火災発生時の活動要領
  5. 警戒宣言発令時の活動要領
  6. 地震発生時の活動要領
  7. 教育・訓練(地震対策含む)

自衛消防活動

火災が発生した際、消防隊が到着するまでの初動対応の良し悪しがその後の被害の程度を決定づけるといっても過言ではありません。

  • 事務所の総力をあげて通報
  • 初期消火
  • 避難誘導

通報・連絡

①火災を見つけたら「火事だー!」と叫んで近隣の人に知らせる。

119番通報(通報義務あり)
・何があったか:「火事です」「救急です」「救助です」
・場所はどこか:「住所」と「建物の名称」
 住所が分からない時は、目印となる建物などを伝える
 「〇〇ビルの東50mです」「〇〇交差点の北西かどです」
・どのような状況か:「建物の階数」「用途」「出火場所」「燃えているもの」「逃げ遅れの有無」
 例「〇〇階建ての事務所ビルの〇階から火災が発生しました」
・あなたの名前、お使いの電話番号:消防隊の誘導やその後の状況確認等

初期消火

消防隊が到着するまでの間に、消防用設備等を活用して初期消火活動を実施します。

<初期消火活動のポイント>
  • 煙に惑わされず、燃えているものに直接注水する。
  • 水バケツや消火器は、火元近くに出来るだけ多くを集め、集中的、連続的に使用する。
  • 姿勢を低くして、煙を吸わないようにする。
  • 屋外の場合は、風上側から消火することを原則とする。
  • 電気火災の場合は、電源を遮断し、感電防止に努める。

避難誘導

<避難誘導のポイント>
  • 出火階及び出火階の直上階を最優先とし、通路の角、階段の出入り口等に誘導員を配置する。
  • エレベーターの利用を制止する誘導員を配置する。
  • 放送設備、メガホン、携帯用拡声器等を活用して、火災の状況や避難経路を繰り返して知らせる。
  • 特別避難階段、避難階段等の安全で多数の人が避難しやすい施設を優先的に使用する(避難器具は最終手段!避難階段等が使用できない場合に使用する)
  • 原則、地上へ避難させる。

火気管理

<火気使用設備・器具の管理>

・設備:一定の位置に据え付けて使用するもの。
・器具:特定の場所に設置するものではなく、必要に応じて持ち運びできるもの。

火を使用する設備で、消防署長にあらかじめ設置の届出義務があるもの(条例第68条)もあります。

例:ちゅう房設備(第5条の2)
横びきの長さが2メートルを超える排気用ダクト等を有するちゅう房設備(個人の住居に設けるものを除く)

火気管理の一般的な留意事項

小さなお菓子屋さんだけでなく、ご自宅でも気をつけると良いポイントですね!

・設備・器具と可燃性物品等との間は、火災予防上安全な距離を確保し、可燃性物品等を放置しないように整理、清掃に努める。

・日常的に破損箇所や機能上の欠陥の有無をチェックし、異常を発見したときは、素人修理はせず、専門家に相談する。

・燃料は適正なものを使用し、燃料タンクや配管は、転倒又は衝撃を防止するために必要な措置を講ずる。

・点火又は通電した状態でみだりに放置しない。

・その他取扱説明書等の注意事項を遵守して使用する。

火災の現象

ここから、火災そのものについてお伝えします。

・燃焼:光と熱を伴う化学反応の総称。

・燃焼の三要素:燃焼に必要な可燃物+酸素+点火エネルギー

・燃焼範囲:可燃性ガスの種類により、燃焼可能な濃度の範囲が異なります。

・引火点と発火点:可燃性の液体や固体を加熱すると、その表面から可燃性ガスが発生します。

 引火点:可燃性ガスの温度が、燃焼範囲の下限を形成するときの液体や固体の温度。

 発火点:他から点火エネルギーを与えられずに、自ら燃え始めるときの最低温度。 

消火法

消火とは、燃焼反応を中止させることです。
つまり、燃焼に必要な三要素の一つ以上を除いて燃焼が継続できなくすること。

<消火法>
  • 冷却消火法:最も一般的なものは、水をかけて燃焼物の温度を下げる。
  • 窒息消火法:泡でおおう、毛布等でおおう等。
  • 除去消火法:ガスの元栓を閉める、大火災の場合は周辺の可燃物を除去する等。
  • 希釈消火法:可燃性ガスの濃度を二酸化炭素や水で薄める等。

火災の定義

火災とは、人の意図に反して発生し、若しくは拡大し又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、

これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、

又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいいます。

<発火源の例>
  • ガスコンロ(揚げ油の過熱、煮物等の沸騰等)
  • 乾燥設備(乾燥物の発火、紙の工場等)
  • 石灰乾燥剤(禁水)への水濡れ
  • コンセントの過電流、コードの束ねによる発熱、接続部の過熱等

煙の恐ろしさ

人間の思考力、判断力を鈍らせて避難行動を阻害し、あるいは一瞬のうちに生理作用を停止させ、中毒、窒息により死に至ります。

・煙の流速:煙の中では、煙の濃度が2倍になると、物体を見通せる距離は1/2に減少。
 一般に水平方向で0.5m/秒ぐらい、垂直方向では3〜5m/秒にもなる。

<一酸化炭素(CO)の毒性>

不完全燃焼の際に発生する無色無臭の有毒ガス。
火災で犠牲となった方々は、無傷のままで息絶えており、部屋に火が入らなくても犠牲者が出ることを十分知っておく必要がある。

まとめ

防火管理者が必須であっても必須でなくても、防火管理者の講習を受けることは、小さなお菓子屋さんを営んでいく上で(生きていく上で!)とても大切な知識になります。

  • 火災の原因と予防
  • 火災が起こってしまった時の対応、消火方法など
  • 地震などの災害への対応など

受講に興味をお持ちいただいたら

  • 管轄(製造場所やお住まいのエリア)の消防署に電話
  • インターネットで[エリア名 防火管理者]と検索

という感じで調べていただくと、日時や費用、申し込み方法がわかります。ぜひ、安心安全にお菓子屋さんを営んでいきましょう!

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