委託販売とは?小さなお菓子屋さんの始め方|カフェや雑貨屋で売っていただく秘訣
「お菓子屋さんを始めたんだね!うちのお店に置いて売ってみる?」
知り合いのカフェ店主さんや雑貨屋さん、美容院のオーナーさんなどから、そんなふうに声をかけてもらえたら、とても嬉しいですよね。
自分の店舗を持っていなくても、他のお店に商品を預けて販売してもらう「委託販売」は、小さなお菓子屋さんにとって心強い販売方法のひとつです。
ただ、いざ委託販売を始めようと思うと、
「手数料はいくらくらい?」
「売れ残ったらどうなるの?」
「食品表示ラベルは必要?」
「どんな条件を決めておけばいいの?」
と、わからないこともたくさん出てきます。
この記事では、お菓子の委託販売を始めたい方に向けて、委託販売の仕組み、手数料の考え方、販売先の探し方、始める前に確認しておきたい注意点をまとめます。
目次
そもそも委託販売とは?
委託販売とは、自分が作ったお菓子を、他の方のお店に預けて販売してもらう方法です。
たとえば、次のような場所が委託販売先になります。
- カフェ、喫茶店
- 雑貨屋さん
- 美容院
- コワーキングスペース
- 地域のお店やコミュニティスペース
- お菓子や食品を扱っている店舗
マルシェ出店の場合は、自分でお店に立ち、お客様に直接販売します。ネットショップの場合は、注文を受けて、自分で発送します。
一方、委託販売は「委託先のお店のお客様」に商品を見つけてもらえることが特徴です。
すでにお客様が来ているお店に置いてもらえるため、自分ひとりでは出会えなかった方にお菓子を届けられる可能性があります。
委託販売のお金の仕組み
委託販売では、お客様が支払った販売価格を、委託先のお店と作り手で分け合います。
たとえば、1袋200円のクッキーを委託販売する場合、200円すべてが作り手の手元に入るわけではありません。
委託先のお店は、商品を置く場所を用意し、レジ対応をし、お客様に販売してくれます。その販売代行の手数料として、売上の一部を委託料としてお支払いします。
委託料の相場は売値の20〜40%ほど
委託料は委託先によって異なりますが、売値の20〜40%ほどに設定されることが多いです。
たとえば、200円のクッキーが1袋売れた場合で考えてみます。
委託料20%:委託料は40円。作り手の手元に残る金額は160円です。
委託料40%:委託料は80円。作り手の手元に残る金額は120円です。
ここで大切なのは、「売れたら嬉しい」だけでなく、手数料を差し引いても赤字にならない価格になっているかを確認することです。
材料費、包装資材、ラベル代、製造場所の利用料、納品の交通費や送料などを考えると、委託販売では思ったより手元に残らないこともあります。
委託販売を始める前に、必ず一度、販売価格と手元に残る金額を計算しておきましょう。
委託料を払っても利益が残ることがベストではありますが、初回の少量納品や期間限定のお試しであれば、「自分一人ではアプローチできないお客様に、自分のお店を知ってもらえる機会」と考えることもできます。
ただし、毎回赤字のまま続けるのは苦しくなってしまうので、何個売れたら利益が残るのか、どの価格なら無理なく続けられるのかは、事前に検討しておきましょう。
委託販売と買取販売の違い
他のお店でお菓子を販売してもらう方法には、大きく分けて「委託販売」と「買取販売」があります。
委託販売は、売れた分だけ精算する形
委託販売は、商品をお店に預けて、売れた分だけ後から精算する形です。
売れた場合は、委託先と作り手の両方にお金が入ります。一方で、売れ残った場合は、作り手が商品を回収することが多いです。
つまり、在庫リスクは作り手側にあります。
賞味期限が近づいた商品をどうするのか、売れ残りはいつ回収するのか、廃棄になった場合はどうするのかなど、事前に決めておくことが大切です。
買取販売は、お店が先に買い取る形
買取販売は、委託先のお店が先に商品を買い取ってくれる形です。
お店が買い取った後は、実際に売れるかどうかに関わらず、作り手には代金が入ります。その代わり、在庫リスクはお店側が負うことになります。
そのため、買取販売の場合は、委託販売よりもお店側の取り分が多くなることがあります。
作り手としては、先に代金が入る安心感があります。一方で、お店側は売れ残りリスクを負うため、売れる見込みがある商品かどうかをより慎重に判断されます。
委託販売に向いているお菓子
委託販売に向いているのは、基本的には「管理しやすく、販売しやすいお菓子」です。
たとえば、常温で販売できる焼き菓子、個包装されているクッキーやパウンドケーキ、賞味期限にある程度余裕がある商品などは、委託販売に向いています。
反対に、要冷蔵の商品、賞味期限が短い商品、崩れやすい商品、説明がないと魅力が伝わりにくい商品は、委託販売の難易度が上がります。
もちろん、要冷蔵の商品が絶対にダメというわけではありません。ただし、委託先に冷蔵設備があるか、温度管理をどうするか、売れ残りをどう回収するかをしっかり決めておく必要があります。
委託販売は、自分がその場で説明できない販売方法です。だからこそ、見た目、ラベル、商品名、価格、POPなどを通して、「何のお菓子なのか」「どんな方におすすめなのか」が伝わる状態にしておきましょう。
委託販売先の探し方
委託販売先を見つけるには、待っているだけでなく、自分から動くことも大切です。
1. 普段から周りの人に活動を伝える
一番自然なきっかけは、普段の会話の中から生まれます。
「お菓子販売を始めました」
「菓子製造業許可のある場所で焼き菓子を作っています」
「今、販売先を少しずつ広げています」
と周りの人に伝えていると、「知り合いのカフェがあるよ」「うちのお店に置いてみる?」という話につながることがあります。
まだ大きく宣伝するのが恥ずかしい方も、まずは身近な人に活動を伝えるところから始めてみましょう。
2. 雰囲気の合うお店に相談してみる
自分のお菓子と雰囲気が合いそうなお店に、直接相談してみる方法もあります。
たとえば、焼き菓子なら、コーヒーに力を入れている喫茶店、雑貨屋さん、美容院、地域の小さなショップなどと相性が良い場合があります。
ただし、いきなり商品を持って行って「置いてください」とお願いするよりも、まずはお店のお客様として訪れてみることをおすすめします。
お店の雰囲気、客層、価格帯、置いてある商品を見た上で、「このお店のお客様に、自分のお菓子は合いそうか?」を考えてみましょう。
その上で、タイミングを見て丁寧に相談すると、お店側にも受け取ってもらいやすくなります。
3. SNSで募集を探す
Instagramなどで「#委託販売」「#委託販売募集」などと検索すると、委託作家さんや委託商品を募集しているお店が見つかることがあります。
募集投稿を見つけたら、条件を確認し、自分の商品ジャンルが対象になるかを問い合わせてみましょう。
その際は、いきなり「置けますか?」と送るよりも、自己紹介、作っている商品、販売実績、営業許可のある場所で製造していること、食品表示ラベルを貼っていることなどを簡潔に伝えると安心感につながります。
委託販売を始める5つのステップ
委託販売は、なんとなく商品を置いてもらえば始まるものではありません。
後からトラブルにならないためにも、次の流れで進めると安心です。
ステップ1:委託販売先を探す
まずは、委託販売をお願いできそうなお店を探します。
知り合いのお店、近隣のお店、SNSで募集しているお店など、いくつか候補を出してみましょう。
この時点で大切なのは、「置いてくれるならどこでもいい」と考えないことです。お店の雰囲気やお客様の層と、自分のお菓子が合っているかを見ておきましょう。
ステップ2:商品を試食してもらう
委託先候補が見つかったら、実際の商品を試食してもらいます。
味だけでなく、パッケージ、サイズ、価格、賞味期限、保存方法なども一緒に確認してもらいましょう。
この時点で、商品説明のしやすさも大切です。委託先の方が、お客様に一言で紹介しやすい商品になっているかを考えておくと、販売しやすくなります。
ステップ3:条件を相談する
委託販売を始める前に、条件を必ず確認します。
決めておきたい項目は、たとえば次のようなものです。
- 販売する商品の種類
- 納品する数量
- 納品頻度
- 販売価格
- 委託料、手数料
- 精算のタイミング
- 賞味期限が近づいた商品の扱い
- 売れ残り商品の回収方法
- 納品は持参か発送か
- 発送する場合の送料負担
- 破損や紛失があった場合の扱い
- POPやショップカードを置けるか
特に、お金と在庫に関することは、あいまいにしない方が安心です。
可能であれば、簡単な確認書やメモを作り、お互いに同じ内容を確認しておきましょう。
ステップ4:製造・納品する
条件が決まったら、実際に製造して納品します。
食品表示ラベル、賞味期限、保存方法、個包装の状態などを確認し、委託先がそのまま安心して販売できる状態にしておきましょう。
納品時には、商品リスト、納品数、賞味期限、販売価格がわかる紙を一緒に渡しておくと、委託先も管理しやすくなります。
ステップ5:追加納品・回収・精算をする
委託販売は、納品して終わりではありません。
売れ行きを確認し、必要であれば追加納品します。賞味期限が近づいた商品は回収し、決めていたタイミングで精算します。
「置いてもらっているからお任せ」ではなく、作り手側からも定期的に連絡を取り、委託先に負担をかけすぎないようにしましょう。
委託販売は、お店との信頼関係で続いていく販売方法です。
委託販売を始める前に必要な準備
お菓子の委託販売は、趣味の延長ではなく、食品をお客様に販売する仕事です。
最低限、次の準備は整えておきましょう。
1. 保健所の営業許可がある場所で製造する
販売用のお菓子は、保健所の営業許可がある場所で製造する必要があります。
焼き菓子やパンを販売する場合、多くは「菓子製造業許可」のある場所で製造します。
自分の工房を持っていない場合は、菓子製造業許可付きのシェアキッチンを利用する方法もあります。
ただし、シェアキッチンを利用する場合は、誰の名義で許可を取っているのか、自分がその許可のもとで販売できるのか、食品表示ラベルに何を記載する必要があるのかを確認しておきましょう。
2. 食品表示ラベルを正しく貼る
委託販売では、作り手がその場にいません。
お客様が商品を手に取った時に、何が入っているのか、いつまでに食べれば良いのか、誰が作ったのかがわかるように、食品表示ラベルを貼る必要があります。
食品表示ラベルには、名称、原材料名、添加物、アレルギー表示、内容量、賞味期限または消費期限、保存方法、製造者情報、栄養成分表示など、記載が必要な項目があります。
特にアレルギー表示や賞味期限は、お客様の安全に関わる大切な情報です。
「なんとなく他のお店を真似して書く」のではなく、必ず正しいルールを確認して作成しましょう。
3. PL保険への加入を検討する
お菓子を販売する以上、食中毒や異物混入などのリスクはゼロではありません。
もちろん、事故が起こらないように衛生管理を徹底することが第一です。それでも万が一に備えて、PL保険、生産物賠償責任保険への加入を検討しておくと安心です。
委託販売の場合、何かトラブルが起きた時に、作り手だけでなく委託先のお店にも迷惑がかかる可能性があります。
自分自身を守るためだけでなく、大切な委託先との信頼関係を守るためにも、保険について一度確認しておきましょう。
委託販売でトラブルを防ぐための確認事項
委託販売で起こりやすいトラブルは、事前確認でかなり防ぐことができます。
特に、次の項目は最初に確認しておくと安心です。
- 販売価格は誰が決めるのか
- 委託料は何%なのか
- 精算は月末締めなのか、納品ごとなのか
- 売れ残った商品は誰が回収するのか
- 賞味期限の何日前まで販売するのか
- 破損や紛失があった場合はどうするのか
- POPやショップカードは置けるのか
- SNSで委託先を紹介して良いのか
- 委託先のSNSで紹介してもらえるのか
特に、賞味期限が短いお菓子の場合は、回収のタイミングを決めておくことが大切です。
「多分大丈夫だろう」で始めると、後からお互いに言いにくくなってしまうことがあります。
小さく始める場合でも、お金、在庫、責任の所在は確認しておきましょう。
委託販売は「売上」だけでなく「出会い」も得られる
委託販売は、手数料がかかるため、マルシェや直接販売に比べると利益率が下がることがあります。
しかし、委託販売には利益だけでは測れない価値もあります。
- 自分のお店を知らなかった方に見つけていただける
- 委託先のお店のお客様に手に取っていただける
- 「あのお店に置いてあるお菓子」として信頼感が生まれる
- 委託先のお店とのつながりができる
- そこからマルシェ出店、イベント出店、追加の販売先につながる
最初から大きな売上を狙うというより、まずは少量から試して、どんな商品が動くのか、どんな価格帯が合うのか、どんなお客様に手に取ってもらえるのかを見ていくと良いです。
まとめ|委託販売は、少量から経験してみよう
委託販売は、自分のお店を持たなくても、他のお店の力を借りてお菓子を届けられる販売方法です。
カフェや雑貨屋さん、美容院、コワーキングスペースなど、自分のお菓子と雰囲気の合う場所に置いてもらえれば、新しいお客様との出会いが生まれます。
一方で、委託販売には手数料、売れ残り、賞味期限管理、食品表示ラベル、営業許可、保険など、事前に確認しておくべきこともあります。
お誘いをいただいた時は、嬉しい気持ちのまま勢いで始めるのではなく、
・手数料を引いても利益が残るか
・売れ残りの回収方法は決まっているか
・食品表示ラベルは正しく貼れているか
・許可のある場所で製造しているか
・委託先に迷惑をかけない準備ができているか
を確認しておきましょう。
最初は、期間限定や少量納品からで大丈夫です。
委託販売は、売上を作るだけでなく、自分のお菓子が自分の手を離れて売れていく、とても貴重な経験になります。
「うちのお店に置いてみる?」と声をかけてもらえたら、条件を確認した上で、まずは小さくチャレンジしてみることをオススメします^^
「カフェや雑貨屋さんにお菓子を置いてもらえることになったけれど、何を確認したらいいかわからない」
「手数料や売れ残りの扱い、賞味期限、食品表示ラベルなど、このまま進めて大丈夫か不安」
そんな方は、個別相談をご活用ください。
委託販売は、自分のお店を持たなくても、お客様にお菓子を届けられる心強い販売方法です。
一方で、条件をあいまいにしたまま始めてしまうと、作り手さんにも委託先のお店にも負担がかかってしまうことがあります。
個別相談では、今の状況をお聞きしながら、
・委託販売を始める前に確認すること
・販売価格や手数料の考え方
・食品表示ラベルや営業許可の確認
・委託先との条件の決め方
・まず何から整えたらよいか
を一緒に整理します。
「せっかくいただいたチャンスを、安心して形にしたい」という方は、下記より詳細をご覧ください。
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