「カフェに自分のお菓子を置いてもらえることになった!」

そんなふうに委託販売のお誘いをいただけたら、とても嬉しいですよね。

しかし同時に、

「手数料はいくらくらいなんだろう?」
「委託料を引いたら、いくら手元に残るの?」
「この価格で売って、赤字にならないかな?」

と不安になる方も多いと思います。

委託販売は、自分のお店を持たずに商品を販売できる、心強い販売方法のひとつです。

ただし、マルシェやネットショップと違い、委託販売では売上から「委託料」と呼ばれる販売手数料が差し引かれます。

なんとなく始めてしまうと、「売れたのに、思ったより手元にお金が残らない」ということもあります。

この記事では、お菓子の委託販売を考えている方向けに、委託販売の手数料の考え方と、利益を残す価格設定についてまとめます。

委託販売では「売値」ではなく「手元に残る金額」を見る

委託販売では、お客様が支払ったお代金を、委託先のお店と作り手さんで分け合います。

委託販売の場合、お客様が払うお代金は、次のような内訳になります。

  • 委託先の取り分
  • 作り手さんの取り分

委託先の取り分が「委託料」です。

委託料とは、委託先が作り手さんの代わりに販売してくださる、その販売手数料のようなものです。

そして、販売価格から委託料を引いた、作り手さんの手元に入る金額が「卸値(おろしね)」です。

たとえば、マルシェやネットショップで販売する場合は、マルシェの出店料やネットショップの決済手数料などはありますが、お客様から受け取ったお代金の大半が作り手さんのお財布に入ります。

一方、委託販売では、お店に販売をお願いする分、委託料がかかります。

そのため、委託販売では「いくらで売れたか」だけでなく、「手数料を引いた後、いくら手元に残るか」を見ることが大切です。

委託販売の手数料は売値の20〜40%ほど

委託料は委託先によりますが、売値の20〜40%である場合が多いです。

たとえば、売値が200円のクッキーが1袋売れた場合で考えてみます。

委託料が20%の場合、
200円 × 20% = 40円

40円が委託料となり、委託先のお店に入ります。

200円から40円を引いた160円が、作り手さんの手元に入る金額です。

委託料が40%の場合、
200円 × 40% = 80円

80円が委託料となり、委託先のお店に入ります。

200円から80円を引いた120円が、作り手さんの手元に入る金額です。

同じ200円の商品でも、委託料の割合によって、手元に残る金額は変わります。

「200円で売れた」ではなく、「委託料を引いたあと、160円残るのか、120円残るのか」を見ておきましょう。

手元に残った金額から、さらに原価を引く

ここで注意したいのは、委託料を引いた後の金額が、そのまま利益になるわけではないということです。

作り手さんの手元に入る金額から、さらに次のような費用がかかります。

  • 材料費
  • 包装資材
  • 食品表示ラベル
  • シェアキッチンなど製造場所の利用料
  • 納品にかかる交通費や送料
  • 試作にかかった費用

つまり、委託販売で本当に見るべきなのは、

販売価格 - 委託料 - 製造や納品にかかった費用 = 自分の手元に残るお金

ということです。

たとえば、300円の商品を委託料30%で販売した場合、手元に入る金額は210円です。

そこから、材料費や包装資材、ラベル代、キッチン代などを引いた金額が、自分の人件費や利益になります。

もし、手元に入る210円のうち、材料費や包材などで180円かかっていたら、残るのは30円です。

30円が多いか少ないかは、その商品を作る手間や販売数にもよります。

ただ、「売れているのに、手元に残らない」と感じる場合は、委託料を引いた後の金額と、実際にかかっている費用を一度書き出してみることが必要です。

月1回程度の販売なら「今回かかった費用」で考えてみる

お菓子の原価計算というと、1gいくら、1個あたりいくら、と細かく計算しなければならないと思うかもしれません。

もちろん、ある程度コンスタントに製造販売する場合は、1g単価を出して、商品ごとの原価を計算することも大切です。

ただ、月1回程度の販売や、初めての委託販売であれば、まずは「今回の委託販売のために、合計いくらかかったのか」を出してみると、実態に近いです。

今回の製造販売にかかった費用
  • このために購入した試作代
  • このために購入した食材費
  • このために購入した包装資材
  • レンタルキッチン代
  • 食品表示ラベルにかかった費用
  • 納品にかかった交通費や送料 など

そして、その合計金額を、委託販売で手元に入る予定の金額と比べてみます。

売上から委託料を引き、さらに今回かかった費用を引いて、どれくらい残るのか。

その残った分が、自分の人件費であり、利益になります。

細かい計算が苦手な方でも、まずは「今回いくら使って、いくら戻ってきそうか」を見るところから始めてみましょう。

委託販売で利益が残りにくい価格設定の例

委託販売では、マルシェや直接販売と同じ価格のままにすると、利益が残りにくいことがあります。

たとえば、いつもマルシェで300円で販売している焼き菓子を、委託販売でも300円で販売するとします。

委託料が30%なら、90円が委託料です。

作り手さんの手元に入るのは210円です。

ここから、材料費、包装資材、ラベル代、製造場所代、納品の交通費などを引きます。

もし、1個あたりにかかっている費用が180円だとしたら、残るのは30円です。

さらに、製造にかかった時間、納品に行く時間、連絡のやり取りにかかる時間を考えると、「売れたけれど、仕事としては続けにくい」という状態になるかもしれません。

委託販売では、販売してくださるお店に委託料をお支払いします。

その分、直接販売よりも手元に残る金額が少なくなりやすいです。

だからこそ、「委託販売でも同じ価格でいいのか」「委託販売用の商品やセットを考えた方がいいのか」を確認しておきましょう。

委託販売では、マルシェやネットショップと同じ販売価格にする場合もあれば、委託料をふまえて販売価格を変える場合もあります。

また、買取販売の場合は、お店側が仕入れ値に上乗せして販売価格を決めることもあります。

どちらの場合も、「誰が販売価格を決めるのか」は、最初に確認しておきましょう。

利益を残すために見直したいポイント

委託販売で手元に残る金額が少なすぎる場合は、いくつか見直せることがあります。

販売価格を見直す

まずは、販売価格を見直します。

委託料を引いた後でも、材料費や場所代をまかなえて、自分の人件費が残る価格になっているかを確認しましょう。

「この価格でないと売れない」と思い込んでしまうこともありますが、価格を上げるなら、商品そのものの見せ方や伝え方も一緒に整えることが大切です。

素材のこだわり、製法、どんな場面で食べてほしいお菓子なのかを、POPやSNS、ショップカードなどで伝えていきましょう。

セット販売にする

単品では利益が残りにくい場合、セット販売にする方法もあります。

たとえば、1袋ずつ販売するのではなく、3個セット、5個セット、プチギフトセットなどにすることで、客単価を上げることができます。

セットにすることで、包装や納品の手間に対して、売上金額を上げやすくなります。

委託先のお店の雰囲気に合うような、ちょっとしたギフトセットを作るのも良いと思います。

委託販売向きの商品を選ぶ

委託販売では、どの商品を置くかも大切です。

手間がかかりすぎる商品、原価が高すぎる商品、賞味期限が短い商品は、委託販売では難しくなる場合があります。

一方で、常温で管理しやすい焼き菓子、個包装できる商品、賞味期限に少し余裕がある商品は、委託販売に向いていることがあります。

すべての商品を委託販売に出す必要はありません。

「委託販売に向いている商品」を選んで置かせてもらうことも、利益を残すための工夫です。

納品コストを確認する

委託販売では、商品を作って終わりではありません。

納品するための交通費、発送する場合の送料、回収に行く時間などもかかります。

少量の納品で、毎回遠くまで持参する場合、交通費や時間を考えると利益が残りにくくなります。

納品頻度、納品数、回収のタイミングも含めて、無理のない形になっているか確認しておきましょう。

委託販売と買取販売では、手数料の考え方が違う

委託販売には、大きく分けて2つの形があります。

  • 売れた分だけ精算する委託販売
  • お店が先に買い取ってくださる買取販売

委託販売には、売れた分だけ精算する「委託販売」と、お店が先に商品を買い取ってくださる「買取販売」があります。

委託販売は、商品が売れた時にお金が入る形です。売れ残った場合の在庫リスクは作り手さんが抱えることになるため、手数料は3割前後で考えられることがあります。

一方、買取販売は、お店が事前に商品を買い取ってくださる形です。作り手さんにとっては納品した時点でお金が入る安心感がありますが、在庫リスクをお店側が負うため、一般的には買取販売の方が手数料は高くなることがあります。

どちらが良い・悪いではなく、在庫リスクを誰が持つのかによって、手数料の考え方が変わると考えておきましょう。

委託先と相談する時に確認したいお金の条件

実際に委託販売を始める前に、お金に関する条件は必ず確認しておきましょう。

確認しておきたいことは、次のような項目です。

  • 委託料は売値の何%か
  • 販売価格は誰が決めるのか
  • 精算のタイミングはいつか
  • 売れ残った商品はどうするのか
  • 賞味期限が近づいた商品の回収はいつするのか
  • 納品は持参か、発送か
  • 発送の場合、送料はどちらが負担するのか
  • 追加納品はどのように相談するのか

特に、委託料、販売価格、精算、売れ残りの扱いは、あいまいにしない方が安心です。

「まずは一回お試しで」という形で始めることもあると思います。

お試しであっても、手元にいくら残るのか、売れ残った場合はどうするのかは確認しておきましょう。

委託料を「販売してもらうための費用」として考える

委託販売は、委託料がかかるため、利益率だけを見ると難しく感じることがあります。

ただ、自分のお店を持っていない小さなお菓子屋さんにとって、他のお店に商品を置いていただけることは、お客様との新しい接点になります。

自分ひとりでは出会えなかったお客様に、お菓子を手に取っていただけるかもしれません。

そのお店のお客様に、自分のお菓子を知っていただけるかもしれません。

その意味では、委託料を単なる手数料ではなく、販売してもらうための費用、認知を広げるための費用と考えることもできます。

ただし、毎回赤字のまま続けるのは苦しくなってしまいます。

「経験としてやってみる」のか、
「利益を出す販売先として続ける」のか。

目的を分けて考えることも大切です。

最初は少量から試してみて、どれくらい売れるのか、どれくらい手元に残るのかを見てみましょう。

まとめ|委託販売は手数料を引いた後で考えよう

委託販売では、お客様が払うお代金を、委託先のお店と作り手さんで分け合います。

委託料は、売値の20〜40%である場合が多く、販売価格から委託料を引いた金額が、作り手さんの手元に入る金額です。

ただし、その金額がそのまま利益になるわけではありません。

材料費、包装資材、製造場所代、ラベル代、納品にかかる費用などを引いたあとに、自分の手元にいくら残るのかを見ておきましょう。

委託販売に向く商品、向く立地、向くお店はあります。

何事も経験なので、もし委託販売のお誘いをいただいたら、物は試しでチャレンジしてみることもオススメです。

ただし、無理なく続けるためには、手数料を引いた後の金額と、自分の利益を最初に検討しておきましょう^^

委託販売、始める前に一度整理してみませんか?

「自分の計算だと、この委託手数料では利益が出ないかもしれない」

「委託先と、どのように条件を相談したら良いかわからない」

委託販売のお金の話は、一度複雑に感じてしまうと怖くなってしまいますよね。

個別相談では、今の販売価格、委託料、材料費や包装資材などを整理しながら、無理なく続けられる価格設定を一緒に考えます。

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yuko kimura
名古屋で菓子製造/飲食店営業許可付きシェアキッチン"すたーとあっぷきっちん"を営んでます / @startup5kitchen / '88年名古屋生 / 名工大建築卒 / 栄養士 / 一児の母 / 小さなお菓子屋さん始め、やりたいことに一歩踏みだす人を増やしたい!