「菓子製造業許可を取りたいけれど、まず何から始めればいいの?」

お菓子を作って販売するには、商品を作る場所に保健所の営業許可があることが必要です。

その中でも、焼き菓子やパンなどを作って販売したい方に関係しやすいのが「菓子製造業許可」です。

ただ、初めてだと、

「保健所にはいつ相談すればいいの?」
「申請には何が必要なの?」
「現場検査では何を見られるの?」
「許可証はいつ受け取れるの?」

と不安になりますよね。

この記事では、菓子製造業許可を取るまでの流れを、保健所相談・申請・現場検査・許可証の受け取りまで順番に解説します。

この記事で分かること
  • 菓子製造業許可を取るまでの全体の流れ
  • 保健所に相談するタイミング
  • 物件契約前に確認しておきたいこと
  • 食品衛生責任者・設備・申請書類の確認ポイント
  • 現場検査で見られやすいポイント
  • 許可証を受け取るまでの流れと注意点

あわせて確認したい記事

この記事では、菓子製造業許可の「保健所相談から許可取得までの手続き」に絞って解説しています。

菓子製造業許可を取るまでの流れ

菓子製造業許可を取る流れは、ざっくり次の通りです。

  1. 保健所に相談する
  2. 必要な工事・設備準備をする
  3. 保健所に申請する
  4. 保健所職員さんの現場検査を受ける
  5. 後日、許可証を取りに行く

工房作り全体で見ると、「物件を探す→保健所に相談する→工事業者を探す→物件を契約する→工事する→保健所に申請する→現場検査を受ける→許可証を取りに行く」という流れになります。

ただし、この記事では物件探しや改装工事ではなく、保健所相談から許可取得までの手続きに絞って解説します。

①保健所に相談する

菓子製造業許可を取りたい時は、まず管轄の保健所(物件住所のエリアを担当している保健所)に相談します。

お菓子販売に必須の条件は、商品を作る場所に保健所の営業許可があることです。

保健所の営業許可は、
営業許可=物件の条件×人の条件
で考えるとわかりやすいです。

物件の条件としては、2槽シンク+手洗いなどが関係します。人の条件としては、食品衛生責任者が必要になります。

2槽シンク・手洗い・床や壁など、保健所に確認されやすい設備条件は、こちらの記事で詳しくまとめています。

▶︎保健所に通るキッチン条件とは?設備チェックリスト

物件契約前に相談する

物件を借りて工房を作る場合は、契約前に保健所へ相談しましょう。

契約してから「この物件では許可が難しい」とわかってしまうと、家賃や工事費の負担が大きくなります。

電話でも相談できますが、電話では間取りが見えないため、一般的な回答になりやすいです。できれば、図面を持って窓口に相談へ行くのがおすすめです。

物件探しから保健所相談、改装工事までの全体の流れは、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶︎物件を借りて菓子工房を作る流れ|物件探し・保健所相談・改装まで

図面を持って相談する

保健所へ相談する時は、不動産屋さんでもらった図面を持っていけるとベストです。

保健所窓口の方も、図面があった方が具体的な話がしやすくなります。

相談する時は、まず次の2つを確認しましょう。

「この物件で許可は取れそうですか?」
「この物件で許可を取るなら、どんな改装が必要ですか?」

保健所は敵ではないので、ふつうに聞けば、ふつうに回答してくれます^^

作りたい商品と販売方法も伝える

保健所へ相談する時は、物件のことだけでなく、作りたい商品と販売方法も伝えます。

たとえば、

  • 焼き菓子を作りたい
  • パンを作りたい
  • マルシェで販売したい
  • ネットショップで販売したい
  • 委託販売先に納品したい
  • 1dayカフェもやってみたい

というように、できるだけ具体的に伝えましょう。

作るものや売り方によって、菓子製造業許可だけでよいのか、飲食店営業許可など別の許可も関係するのかが変わる場合があります。

マルシェ・ネットショップ・委託販売・1dayカフェなど、販売方法ごとの違いを整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。

▶︎お菓子販売の方法まとめ|マルシェ・ネットショップ・委託販売・1dayカフェの選び方

②食品衛生責任者を確認する

菓子製造業許可を取るには、食品衛生責任者も必要です。

食品衛生責任者は、食品を扱う営業施設ごとに必要になる衛生管理の責任者です。

講習を受けて取得する方法のほか、栄養士・調理師など食に関する資格を持っている場合は、講習が免除されることもあります。

物件や設備の準備と同時に、食品衛生責任者の資格についても早めに確認しておきましょう。

▶︎食品衛生責任者とは?お菓子販売に必要な資格と菓子製造業許可との違い

③必要な工事・設備準備をする

保健所に相談して、必要な改装内容が見えてきたら、工事や設備準備を進めます。

たとえば、シンクの追加、手洗いの設置、床や壁の変更などが必要になることがあります。

実例では、1DKの物件をワンルームにし、シンクを1つ追加、手洗いを追加、アコーディオンカーテンをドアに変更、畳をフローリングに変更しています。畳は衛生的ではないとのことで、水拭きできる床へ変更した記録があります。

ここで大切なのは、保健所に相談した内容と違う工事をしないことです。

「このように改装すれば許可が取れそう」と確認してから、その内容に沿って工事を進めましょう。

詳しい物件探し・工事業者探し・改装の流れは、別記事で解説します。

▶︎物件を借りて菓子工房を作る流れ|物件探し・保健所相談・改装まで

④保健所に申請する

工事や設備準備が整ってきたら、保健所に営業許可申請をします。

物件の相談で保健所に通う時があると思います。その際に、申請書をもらっておくと良いです。

事前に書いておくとスムーズですが、わからないところは無理に埋めなくて大丈夫です。窓口に行って、聞きながら書くことをおすすめします。

申請時には、自治体によって異なりますが、次のようなものが必要になることがあります。

  • 営業許可申請書
  • 施設の図面
  • 食品衛生責任者の確認書類
  • 製造する商品の内容
  • 製造工程表
  • 申請手数料

すたーとあっぷきっちん中の人が許可取得時には、焼き菓子とパンの製造工程表をそれぞれ書いて提出しています。

申請手数料を支払う

申請のタイミングで、申請手数料を支払います。

参考:名古屋市の申請手数料

最初に許可とる時は「新規」。 名古屋だと有効期間6年なので、6年後に払うのは「更新」の金額です。

許可を要する営業及び申請手数料_2

ー引用:名古屋市HP 許可を要する営業及び申請手数料

ーどこからたどり着けるかというと、名古屋市HP>「食品取扱施設 営業許可」ページ下部>「許可を要する営業及び申請手数料」

金額は自治体や許可の種類によって変わるため、必ず管轄の保健所で確認しましょう。

申請手数料だけでなく、物件改装費・設備費・家賃・光熱費なども含めた費用感は、こちらの記事で詳しくまとめています。

▶︎菓子製造業許可にかかる費用はいくら?物件・改装・月々の費用まで解説

作る商品によって別の許可を勧められることもある

最初は菓子製造業許可だけのつもりでも、作る商品によっては別の許可を勧められることがあります。

許可を取得した2015年当時では、【食パンを作って、その食パンでサンドイッチを作りたい】という場合、

  • 食パンを作る→菓子製造業許可
  • サンドイッチを作る→飲食店営業許可

という具合に、2つの許可が必要でした。

保健所さん

パンを作りたいとのことですが、サンドイッチも作りますか?

サンドイッチを作るなら、飲食店営業許可も取った方が良いです。

製造所という作りだから菓子製造業と飲食店営業の両方の許可が取得可能です。

カウンター席のある飲食店だと調理場だけの空間にはしにくいから、両方の許可を取れません。

と勧められ、菓子製造と飲食の両方を申請しています。

上記は2015年当時の話で、2021年の法改正で、

  • 菓子製造業の許可でサンドイッチの製造可能
  • カウンター席のある飲食店でも、時間帯を変えて、衛生管理をすれば菓子製造業の許可取得可能

となりました。

⑤現場検査を受ける

申請したタイミングで、現場検査の日程を決めることが多いです。

現場検査では、保健所職員さんが実際に製造場所へ来て、申請内容と現場が合っているか、必要な設備が整っているかを確認します。

現場検査で「やっぱりここをこうして」と言われないように、差し戻しがないように、事前相談へ行っています。

ただし、まれに事前相談と現場検査で判断が変わることもあります。事前相談では乾式の床でOKと言われていたのに、現場検査時に湿式の床にするよう指摘があったケースを聞いたことがあります、、、

だからこそ、事前相談の内容はメモに残し、不安な点は工事前に確認しておきましょう。

現場検査までに準備しておきたいこと

現場検査までに、保健所から言われた設備や道具を整えておきます。

焼き菓子を作る場合は、オーブンやハンドミキサーなど、実際に製造に必要な道具も設置しておくように言われる場合があります。

「許可に必要な設備」と「実際に製造するために必要な道具」は少し違うため、現場検査前に何を置いておくべきかも確認しておくと安心です。

⑥許可証を受け取りに行く

現場検査で問題がなければ、後日、許可証を受け取りに行きます。

大抵、現場検査の1週間後くらいに行くと、許可証ができあがっている流れです。

許可証を受け取ったら、営業許可を受けた製造場所として動き出せます。

ただし、許可を取ったら終わりではありません。

販売するには、食品表示ラベル、賞味期限、アレルギー表示、HACCP、保険、販売方法なども整える必要があります。

許可取得後に準備すること

菓子製造業許可が取れたら、次は実際の販売準備です。

特に確認したいのは、次のような内容です。

  • 食品表示ラベル
  • 賞味期限・消費期限
  • アレルギー表示
  • 保存方法
  • HACCP
  • PL保険などの食の保険
  • マルシェ・通販・委託販売などの販売方法

保健所相談の記録でも、マルシェ出店時の賞味期限の打ち間違いや、アレルギー表示、副材料に含まれる乳などに気をつけるよう話が出ています。

許可取得はゴールではなく、お菓子販売の土台です。

実際にお客様に届けるための準備も、順番に整えていきましょう。

▶︎食品表示ラベルの書き方|初心者向け完全ガイド

▶︎HACCPとは?小さなお菓子屋さんがやることを初心者向けに解説

▶︎食品ビジネスに必要な保険まとめ|PL保険・食中毒・マルシェ出店保険

まとめ|保健所相談から順番に進めよう

菓子製造業許可を取る流れは、保健所相談、食品衛生責任者の確認、工事・設備準備、申請、現場検査、許可証の受け取りという順番です。

特に大切なのは、早めに保健所へ相談すること。

物件を借りる場合は、契約前に「この物件で許可が取れそうか」「どんな改装が必要か」を確認しておきましょう。

お菓子販売は、製造場所と許可の準備から始まります。焦らず、順番に進めていきましょう。

菓子製造業許可を取る前に、あわせて確認したい記事

工房を持ちたい方へ

菓子製造業許可を取りたいけれど、

「保健所に何を聞けばいいかわからない」
「この物件で許可が取れるか不安」
「申請までの流れを整理したい」

という方へ。

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