チョコレート、市販のクッキー、クリームチーズ、ミックス粉、加糖卵黄など。

お菓子を作る時に、すでに加工された市販品を材料として使うことはありますよね。

その時に迷いやすいのが、

「チョコレートって書くだけで良いの?」
「市販クッキーの中に入っている原材料まで書くの?」
「添加物はどこまで書くの?」
「省略できる場合もあるって聞いたけど、自己判断して良いの?」

ということです。

食品表示ラベルでは、すでに製造・加工された、2種類以上の原材料からできている原材料を「複合原材料」といいます。

この記事では、食品表示ラベルの中でも「複合原材料」に絞って、チョコレートや市販クッキーを使う時の原材料表示の考え方をまとめます。

食品表示は法律に関わる大切な部分です。この記事では基本の考え方をまとめますが、実際に販売する際は、ご利用先のシェアキッチンさんや、製造場所を管轄する保健所さんに確認しながら進めてください。

複合原材料とは?

チョコレートなどの加工品をお菓子に入れることはありますか?

すでに製造・加工された、2種類以上の原材料からできている原材料のことを「複合原材料」といいます。

チョコレートの他、飾りに使う市販のクッキーやチーズなどが挙げられます。

原材料欄に記載する場合、原則は仕入れた「複合原材料名」で記載します。

この「複合原材料」が、ラベル作成でかなりつまずきやすいところです。

なんだか言葉だけでややこしいですよね^^;

ただ、考え方としては、
自分が一から作った材料ではなく、すでに加工された市販品を材料として使う場合は、その市販品の中身も確認する
ということです。

なんだか言葉だけでややこしいですよね^^;

ですが、お客様から見ると、そのお菓子に何が入っているのかを知るために大切な情報です。

  • どんなチョコレートを使ったのか
  • チョコレートの中に乳成分や大豆が入っているのか
  • 市販クッキーの中に卵や添加物が入っているのか

こういったことを確認しながら、原材料名を書いていきます。

食品表示ラベル全体の書き方を知りたい方は、先にこちらの記事をご覧ください。

▶︎食品表示ラベルの書き方|お菓子販売初心者向け完全ガイド

お菓子作りで複合原材料になりやすいもの

お菓子作りで複合原材料になりやすいものには、次のようなものがあります。

  • チョコレート
  • 市販のクッキー
  • チーズ
  • ミックス粉
  • ジャム
  • 栗の甘露煮
  • 加糖卵黄
  • あんこ
  • 缶詰
  • 市販のフィリング
  • 市販のキャラメル
  • 市販のソース類

もちろん、これ以外にもあります。

ポイントは、その材料が1つの原材料だけでできているのか、複数の原材料からできているのかです。

たとえば、砂糖は基本的に単体の原材料として考えやすいですが、市販のクッキーは、小麦粉、砂糖、油脂、卵、添加物など、複数の原材料からできています。

このような加工品をお菓子に使う場合、原材料名を書く時に「複合原材料」として考える必要があります。

複合原材料の基本の書き方

複合原材料の基本の書き方は、次のように考えるとわかりやすいです。

複合原材料の基本の書き方

原材料欄に複合原材料(複合原材料の原材料を記載)/ 複合原材料に含まれる添加物

つまり、市販品の名前だけで終わらせるのではなく、必要に応じて、その市販品の中に入っている原材料もカッコ内に書きます。

さらに、その市販品に含まれている食品添加物も、スラッシュの後ろに書きます。

市販クッキーを使う場合の表示例

例えば、以下の市販クッキーをお菓子作りの材料として使ったとします。

名称:クッキー
原材料名:小麦粉(国内製造)、砂糖、ショートニング、鶏卵、バターオイル、植物油脂、マーガリン、卵黄、食塩/乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

この市販クッキーを自分のお菓子に使う場合、基本の書き方は次のようになります。

基本の書き方(下線部分)

他の原材料、クッキー(小麦粉、砂糖、ショートニング、鶏卵、バターオイル、植物油脂、マーガリン、卵黄、食塩)、他の原材料/他の添加物、乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

ここでのポイントは、市販クッキーそのものだけでなく、市販クッキーに含まれている添加物も確認することです。

複合原材料に含まれる添加物も確認する

複合原材料で見落としやすいのが、食品添加物です。

自分が直接入れたベーキングパウダーだけでなく、市販の加工品に含まれる食品添加物も確認が必要です。

たとえば、市販クッキーの表示に、

/乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

と書かれていた場合、自分の商品ラベルでも、原則としてそれらの食品添加物を確認する必要があります。

「自分はクッキーを入れただけだから、添加物は関係ない」というわけではありません。

市販品を材料として使う場合は、その市販品の裏面表示も確認しましょう。

食品添加物そのものの表示ルールは、別記事で詳しく解説します。

▶︎食品添加物の表示ルール|ベーキングパウダー・バニラエッセンスはどう書く?

チョコレートを使う場合はどう考える?

チョコレートも、複合原材料として考えることが多い材料です。

たとえば、チョコレートには、カカオマス、砂糖、ココアバター、乳化剤、香料などが含まれていることがあります。

この場合、

  • チョコレートとだけ書けば良いのか
  • チョコレートの中身まで書く必要があるのか
  • 乳化剤や香料も書く必要があるのか

ここで迷いやすいです。

基本的には、市販チョコレートの表示を確認し、複合原材料として扱う必要があるかを考えます。

例としては、

他の原材料、チョコレート(砂糖、カカオマス、ココアバター、全粉乳)、他の原材料/乳化剤、香料、他の添加物、(一部に乳成分・大豆を含む)

のような形が考えられます。

ただし、実際の表示は、使うチョコレートの原材料、添加物、アレルゲンによって変わります。

「チョコレートならこう書けばOK」と丸暗記するのではなく、使っているチョコレートの表示を確認して作ることが大切です。

複合原材料の原材料表示を省略できる場合

複合原材料には、原材料表示を省略できる場合もあります。

ここでいう省略とは、複合原材料に含まれている原材料の一部、または全部について、条件に当てはまる場合に表示を簡略化できるということです。

ただし、ここはかなり判断が難しいところです。

初心者さんの場合は、「省略できるなら省略したい!」と思うかもしれませんが、省略ありきで考えすぎない方が安心です。

複合原材料の原材料表示を一部「その他」表示

複合原材料の原材料が3種類以上あり、複合原材料の原材料に占める重量割合が上位3位以下かつ複合原材料に占める割合が5%未満であるものは、まとめて「その他」と表示することができます。

クッキーの原材料のうち、

原材料名:小麦粉(国内製造)、砂糖、ショートニング、鶏卵、バターオイル、植物油脂、マーガリン、卵黄、食塩

もし仮に、鶏卵までで、クッキーの中で95%以上を占めていて、バターオイル以下の食材は5%未満だった場合、

重量の95%以上:小麦粉(国内製造)、砂糖、ショートニング、鶏卵

重量の5%未満:バターオイル、植物油脂、マーガリン、卵黄、食塩

となり、次のように書くことができます。

複合原材料の原材料表記の一部「その他」(下線部)

他の原材料、クッキー(小麦粉、砂糖、ショートニング、鶏卵、その他)、他の原材料/他の添加物、乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

ここが難しいところで、原材料の割合については、市販クッキーの製造元でなければわからないはずです。

尋ねるとしたらお客様相談室に問い合わせる…ですが、製造元の企業としては「企業秘密です」と回答する可能性が高いのでは、という予想です。

実際に、ラベル講座の生徒さんの添削で加工品(ミックス粉)の製造元に問い合わせた時も、原材料のパーセンテージは企業秘密につき回答できない、とのことでした^^;

一般に原材料がわかるもの

省略できる場合のひとつに、「一般に原材料がわかるものは、名称の記載でOK」とされる場合があります。

たとえば、
クッキー
という名称だけで、一般的にどんなものかイメージできる場合です。

一般に原材料がわかるもの(下線部)

例:他の原材料、クッキー、他の原材料/他の添加物、乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

ただし、「この加工品は原材料を省略して良い、この加工品は原材料を省略できない」という一覧表はなく、保健所の見解は「線引きが難しい」とのことです。

ラベル講座受講の生徒さんの添削で「栗の甘露煮」について、複合原材料として原材料の記載が必要であるか保健所に問い合わせたことがあります。

その時は、「栗の甘露煮という表現が一般的な表現かどうかは行政で判断するのではなく、表示責任者の判断です」という前置きがあった上で、「複合原材料として栗の甘露煮の原材料を書いてもらった方が無難です」という回答でした^^;

なので、迷う場合は、複合原材料として中身も書いた方が無難です。

複合原材料の割合が5%未満の場合

もうひとつ、複合原材料の原材料表示を省略できる場合として、自分が作るお菓子に占める複合原材料の重量割合が5%未満である場合があります。

ただし、5%未満とは、4.999…%であり、5%は含みません。

仮に、先ほどのクッキーをお菓子作りに使うとして、クッキーの重さが全体の5%未満である場合、次のように書けます。

使用重量が5%未満の場合(下線部)

例:他の原材料、クッキー、他の原材料/他の添加物、乳化剤(大豆由来)、香料、膨張剤、カロテン色素

省略は自己判断しすぎない方が安心

複合原材料の省略ルールを見ていると、
「これ、省略できるかも?」
と思う場面があるかもしれません。

ただし、初心者さんの場合は、まずは省略できるかどうかを頑張って探すより、

  • 使っているものはすべて書く
  • 加工品は複合原材料として、カッコの中に複合原材料の原材料を書く

省略だなんだと書きましたが、ラベル作成は落ち度をなくす作業です。

複合原材料を分割表示できる場合

複合原材料には、「分割表示」という考え方もあります。

単に混合しただけなど、原材料の性状に大きな変化がない複合原材料を使用する場合について、一定の条件に当てはまる場合は、複合原材料に使用された原材料を分割して表記することができます。

条件としては、次のようなものです。

条件1:消費者がその内容を理解できない複合原材料の名称の場合。

条件2:複数の原材料を単に混合しただけなど、消費者に対して複合原材料として情報を提供するメリットが少ないと考えられる場合。

複合原材料を分割して表示する場合は、その複合原材料のすべての原材料及びそれ以外の使用した原材料について、原材料に占める重量割合の高いものから順に、その最も一般的な名称で記載します。

加糖卵黄の表示例

たとえば、市販の「加糖卵黄」を仕入れ、パウンドケーキを作った場合を考えてみます。

加糖卵黄とは、卵黄に砂糖を加えたものです。紙パックで冷凍流通していることが多いです。

複合原材料として表示

加糖卵黄(卵黄(卵を含む)、砂糖)、小麦粉、バター/膨張剤

分割して表示

小麦粉、バター、卵黄(卵を含む)、砂糖/膨張剤

※分かりにくくなるので、ここでは原料原産地については記載せずに説明しています。

▶︎原料原産地表示とは?

複合原材料に含まれる食品添加物の扱い

複合原材料に含まれる食品添加物は、原則として記載します。

ただし、五感に影響しないものはキャリーオーバーとして省略できる場合があります。

キャリーオーバーとは、その食品の原材料として使用される加工食品に使用されている添加物で、最終食品には残っていても微量であり、効果を発揮しないものです。

たとえば、しょうゆの保存料などが例として挙げられます。

ただし、ここも判断が難しい部分です。

食品添加物を省略できる場合があるとはいえ、味や色や匂いなど、五感に影響する食品添加物は省略できません。

また、アレルゲンに関わる表示は慎重に確認する必要があります。

食品添加物の省略には、キャリーオーバー以外にも、加工助剤、栄養強化の目的で使用されるものなどの考え方があります。

ここまで入れると長くなるので、食品添加物の表示ルールは別記事で詳しく解説します。

▶︎食品添加物の表示ルール|ベーキングパウダー・バニラエッセンスはどう書く?

初心者さんは「省略」より「落ち度なく書く」方が安心

複合原材料は、省略できる場合や分割表示できる場合があります。

ですが、初心者さんにお伝えしたいのは、まずは省略ありきで考えないことです。

食品表示ラベルは、デザインセンスよりも確認作業が大切です。

かわいいラベルを作る前に、まずは「必要な情報が正しく入っているか」を確認しましょう。

特に、複合原材料は、

  • 市販品の中に何が入っているのか
  • その市販品に食品添加物が入っているのか
  • アレルゲンは含まれていないか
  • 省略しても問題ないのか

など、確認することが多いです。

「省略できるかどうか」を頑張って探すより、まずは使っているものを確認して、落ち度なく書くことを大切にしましょう。

複合原材料でよくあるミス

複合原材料でよくあるミスは、次のようなものです。

  • 市販のチョコレートを「チョコレート」とだけ書いて終わってしまう。
  • 市販クッキーの中に含まれる原材料を確認していない。
  • 複合原材料に含まれる食品添加物を書き忘れている。
  • 省略できるかどうかを自己判断してしまう。
  • 「5%未満」と「5%以下」を混同してしまう。
  • アレルギー表示を見落としてしまう。
  • ミックス粉やフィリングの表示を確認せずに使ってしまう。
  • 加工品のメーカーに確認せず、想像で書いてしまう。

複合原材料は、食品表示ラベルの中でもつまずきやすい部分です。

不安な場合は、自己判断で進めず、利用先のシェアキッチンさんや、製造場所を管轄する保健所さんに確認してください。

食品表示ラベル全体のよくあるミスは、別記事でまとめています。

▶︎食品表示ラベルでよくあるミス5選

まとめ:市販品を材料に使う時は、その中身も確認しよう

いかがでしたか?

複合原材料、なかなかややこしいですよね^^;

チョコレート、市販クッキー、クリームチーズ、ミックス粉、加糖卵黄など、すでに加工された市販品を材料として使う場合は、その市販品の中身も確認する必要があります。

複合原材料の基本は、
複合原材料名(複合原材料の原材料)/複合原材料に含まれる添加物
です。

省略できる場合もあります。
分割表示できる場合もあります。
キャリーオーバーとして添加物を省略できる場合もあります。

ただし、初心者さんは省略ありきで考えるより、まずは使っているものをすべて確認して、落ち度なく書くことを大切にしましょう。

ラベル作成は落ち度をなくす作業です。

一つずつ確認していけば大丈夫です^^
くじけずいきましょう!

参考図書:食品表示検定 初級テキスト

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原材料名や複合原材料、食品添加物、アレルギー表示など、食品表示ラベルは一人で確認しようとすると不安になりやすい部分です。

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